過去ログ - 【艦これ】五十鈴の調子が悪いようです【SS】
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2013/11/11(月) 20:29:33.38 ID:foU1KJOC0
凪である。
しかし、この海原が静寂に包まれることはなかった。
静けさを破るものは、無数の発砲音、スクリュー音、そして着弾音である。
同時に巻き上がる膨大な水しぶきの中を、縫うように駆け抜ける影が一つ。
よほど時勢に疎い人間でない限り、それを見て、ある一つの言葉を思い浮かべるだろう。
――すなわち、深海棲艦。突如として深海の彼方から姿を現した、人類共通の敵である。
あるいは、それに加えて「駆逐イ級」という言葉を思い浮かべる者もいるかもしれない。
そして、軍事知識に明るい者ならばすぐにその考えを打ち消すはずである。
この影には、深海棲艦に共通の有機物と無機物が合わさったかのような奇怪さが存在しない。明らかに、人の手によって形作られたと分かるつるっとした外見をしているのだ。
その正体は、連合海軍によって設計・製造された演習標的である。
では、先程からこの標的に向けて何度も発砲し、それでいながら一向に有効打を与えられていないものとは、何か。
それは、一人の少女である。
いや、少女という形容が正しいのかどうか。
何故ならば、普通の少女は14センチ単装砲と同等以上の威力を誇るサブマシンガン型の艤装をやすやすと扱いはしない。
何故ならば、普通の少女は忙しく立ち働き、主をサポートする妖精たちをまとわりつかせていたりはしない。
何よりも、普通の少女は海面を滑走しない。
――艦娘。
かつての大戦を戦った艦艇たちは、今また人類未曾有の窮地に対し、自らの魂と戦力の全てを人間大の艤装へと変え、人類の元へ舞い戻って来た。
そしてそれをまとい、自由自在に操り戦う少女たち……それを総称して、艦娘と呼ぶのである。
この少女に与えられし名前と艤装は、五十鈴。
かつて長良型軽巡洋艦2番艦として竣工された艦艇の、魂と戦力を受け継ぐ娘である。
だが、与えられしその力が、今日は思うように振るえない。
軽々と扱えていたはずの艤装が、妙に重く感じる。艤装を身にまとうやいなや、急激に拡大するはずの五感も平常時のそれと大差を感じなかった。
自らをサポートするはずの妖精との同期も上手くとれていない。本来、妖精と艦娘とは一心同体のような存在であり、何も意識せずとも手足の延長のように立ち働いてくれるものなのだが、今は心に強く念じなければ、その姿さえ霞んで見えなくなりそうだった。
腰部に装備された魚雷発射管など、起動できる気がしないありさまである。
「なぜだ……? どうして……?」
自問自答するが、それで好転するはずもなく。
母艦から演習終了を告げる通信が飛ばされ、それで、この日の演習は終了となった。
撃墜数0。
これは、軽巡洋艦クラスの艦娘では最強とも噂されている五十鈴にとって、ありえない数字であった。
現在、我が国における海上防衛の一大基地として知られる横須賀鎮守府はしかし、その役割に対して、施設の規模はかなり小さなものである。
これはこの施設が、艦娘の登場に合わせて建設され、かつての鎮守府の名を引き継いだことに由来している。
本物の軍艦を多数扱うならばともかく、平時は人間と変わらぬ艦娘と、その艤装、それ
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