過去ログ - 【艦これ】五十鈴の調子が悪いようです【SS】
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33:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)
2013/11/11(月) 21:34:19.09 ID:foU1KJOC0
「もうすぐ、ですね」
「ええ……ちゃんと、初めて会うふりをしないと駄目ですよ?」
「わかってますよぉ」
 艦娘の居住施設に設けられたリビングにて、ぷくりと頬を膨らませる吹雪を見て微笑みながら、赤城はせんべいをかじっていた。
 数日後のことである。
 事件を秘密裏に解決した赤城の結論は、高遠の罪を咎めることはしないというものであった。
 かといって、艦娘の力に目覚めた文月をそのままにしておくことはできない。
 そこで赤城は、数日間を置き、ゆっくりと親子の時間を過ごさせてやってから、文月を通常の手続き通りに、艦娘として届け出させることにしたのである。
 そして今日は、文月がこの泊地へ受け入れられる予定の日となっているのだ。
「それにしても……」
 加賀はひと口茶をすすりながら、深い溜め息をついた。
「貧すれば鈍すると言いますが……あの父親の言っていた言葉は、私たちの忘れていたものを思い出させましたね」
 その言葉に、うなずいたのは吹雪である。
「私たち、当り前のように戦ってますけど……本当はそれって、異常なことなんですよね……」
「高遠は、文月ちゃんを争いのない安全な場所へ匿うつもりだったそうです」
 二人の様子を見ながらも、しかし、赤城の瞳には決然としたものが宿っていた。
「……でもね。深海棲艦が跳梁するこの世界で、そんな場所がどこにあるっていうんですか?」
 赤城の問いに答えられる者はいない。
「そ、そういえば青葉さんはどうしたんですか?」
 ふいに訪れてしまった沈黙に耐えかね、吹雪は努めて明るい声を上げながらそう尋ねた。
「ああ、青葉ちゃんなら、私の頼みで買い物に出かけてもらっています。文月ちゃんの仲間入りをお祝いして、ケーキのひとつも用意したいですからね」
「ケーキですか? いいですね!」
「ええ、青葉ちゃんもこころよく買い出しを引き受けてくれましたよ」
「こころよくって……青葉さん、また何かしたんですか……」
「ふふ、秘密です」
「……そろそろ出迎えにいきましょうか」
 二人のやり取りを尻目にしていた加賀が、やおら立ち上がると玄関に向けて歩き出した。
「ああ、ちょっと、待ってください〜」
 慌てて吹雪が後を追いかけ、赤城も立ち上がる。
 と、赤城のポケットから一葉の写真が滑り落ちた。
 やはり青葉が隠し撮りしていたものなのだろう、写真に写っているのは、艤装を身につけた吹雪の姿である。
 ただ、隠し撮りだけあって微妙に際どい角度から撮られた写真であり、スカートの中にある白いものがちらりと見えてしまっているのだ。
 野草のような可憐さを秘めたこの少女は、兵たちの間で密かに人気があるのである。


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