985:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sagesaga]
2013/12/01(日) 14:23:44.40 ID:0NOSDqHQo
>>955
地の文ありにしても、状況説明だけじゃ味気ないし、冗長になると思う
どうしてもアクションや迫力じゃマンガやアニメには勝てないから、心理描写を増やしたらどうだろう
SSや小説のおもしろさはそこだと思うし
勇者「これ以上は、隠れきれないか」
つぶやくなり、彼は走り出す。
しばらくは彼のブーツが石畳を叩く音しか反響させなかった魔王城の広間だが、だんだんと騒がしくなってきた。
「ゆ、勇者だ! 魔王様の部屋にやってはならん、何としてでも止めろ!」
守衛の魔物達に気取られたのだ。
流石に魔王城の守備を任されるだけのことはあり、魔物達の連携の練度は高い。
勇者の行動を制限するように包囲すると、一斉に踊りかかった。
だが、それでも百戦練磨の勇者には及ばない。
ふぅ、と緊張を吐き出すと、彼は応戦する。
斬る。薙ぐ。払う。
彼が大剣を操るたび、血の雨が降り注いだ。
当初こそ戦いの体はなしていたものの、いまの血煙けむるそこは、魔物達の処刑場と言って相違ない。
勇者は彼の、師匠から学んだ剣術は極めれば最強である、と自負していた。
そして彼はまさしくそれを体現しているのである。
最後の魔物が無様な鳴き声とともに血の池に倒れた。
「死んだ女魔術師のためにも、これで終わらせる」
…彼は、ここで退くべきだった。
いかに最強の剣を極めた勇者といえども、人間だ。
無数の魔物と死闘を演じた後では、消耗する。
魔王城の構造を知り、魔王の手勢も減らせたのなら、戦果としては十分である。
彼はここで一旦退いて、体勢を立て直すべきだった。
だが、勇者は歩を進める。
…親友たる黒騎士の裏切り、そして、恋人たる女魔術師の死。
彼に降りかかったいくつもの理不尽な現実が、彼の視野を、選択肢を狭めていた。
魔王を倒す。
いつか語り合った夢を実現するための、手段であったはずのそれは、いつの間にか勇者の目的そのものに成り果てていた。
彼は刺し違える覚悟である。
悲壮を超えて滑稽なまでのその覚悟を灯した勇者の瞳に、ひとつの影がよぎる。
「どけ。どかねば切る」
勇者は威嚇した。
いままで通りかかる影はすべて条件反射で斬り捨てていた勇者が、威嚇した。
それはその影の正体を、彼の直感が察していたからかもしれない。
「俺が分かるか? 裏切り者の黒騎士だ」
「一人でここまで来たのは褒めてやる。だがもう無駄だ、剣を捨てろ勇者」
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