過去ログ - 苗木「穴に落ちたら別世界?」舞園「たぶん違うと思います」
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30:カタツムリ ◆VVBcRnN7PuNW[saga]
2013/11/15(金) 23:53:45.60 ID:k5ZdhmIm0

「良かった。これで出られる……!」

 苗木は安堵の声を上げた。
 すると、それに合わせるようにして、ウサミが語り始めた。

「う〜ん、今回はあちし、ほとんど役に立ちませんでちたね」

「いや、助かったよ。あの光景をひとりで見るのはちょっと……」

「ど、どういうことだ、苗木……。オメー本当にちゃんと忘れんだろうな!?」

「お別れでちね。短い時間でちたが、お元気で…………」

「うん。たぶん、ここでの出来事は忘れ……ると思うけど、たぶんウサミにはずっと感謝するよ」

「オメー、今、忘れないって言おうとしなかったか?」

「うん。けど、ほら実際は忘れちゃうみたいだから……」

「本当か?」

「本当だよね!? ウサミ!」

「そそそそそそそ、そうでちね。わわわわわ、忘れまちゅ!」

「うそくせええええええええええええええええええええええ」

 煉瓦かパネルで作られたかのように、世界に罅が入り、崩れていく。
 空にも地面にも穴が開く。

 すると、桑田が落ちて行った。

「って、おい。こら。まてやあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ…………」

 断末魔のような余韻を残しながら、桑田はこの世界の外へと消えて行った。




「えっと……。ボクもそのうち消えるのかな?」

「そうでちゅね。別に穴に落ちなくても大丈夫でちゅよ」

「それは良かったよ。なんか今日はしょっちゅう穴に落ちてたし……」

「そうなんでちゅか……? まぁ、なんにせよ、もうここには迷い込んじゃダメでちゅよ!」

「迷い込んで迷い込んじゃわけじゃ……」

「……それもそうでちゅね。けど、何事も気をつけるんでちゅ! 気を付けて損はないでちゅ!」

「そう……だね……」

 苗木は苦笑する。
 その苦笑に対して、ウサミは満面の笑みでお別れを言った。

「それじゃ、またね〜さよなら〜。ラーブラーブ! 苗木君の未来に幸あれ! ラーブラーブ! 苗木君も一緒にどうぞでちゅ!」

「うん? またね? ラーブラーブ?」

 バイバイみたいなものかな? と思いながら苗木はラーブラーブと呟き、手を振った。

「ラーブラーブ」

「ラーブラーブ」

 その別れの挨拶をしているうちに、苗木の意識は再び闇に包まれた。
 そして、一気に水の中を浮上するような感覚が苗木の身を包む。
 力を抜いて、水の圧力で上へ上へと押し上げられるように、苗木の精神は夢から現実へと戻っていった。




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