過去ログ - 「魔物は真に心に寄りそってくれる」
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1:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/11/16(土) 22:32:27.95 ID:NYEnABb+0
魔物は真に心に寄りそってくれる。
ほの青い夜の、ベージュ色の薄いシーツの上で、布団を腕にかき抱き、
しかし抱きしめる意味のなさに怯える私の、空気のような頭さえ撫でてくれるのだ。
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2:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2013/11/16(土) 22:34:28.02 ID:NYEnABb+0
彼か、彼女か、わからないが、ただ美しいその顔に浮かぶ笑み。溢れる慈愛だ。
私の堅い髪をすべる指はしなやかで、どの瞬間で切り取っても一つの図画となるだろう丹念な繊細さで動く。
指先を覆う爪の形さえ、瑕疵のない造形と見える。
3:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)
2013/11/16(土) 22:36:23.99 ID:NYEnABb+0
肉も魂も美しい、そう見える、この魔物の名はなんなのだろう。
いまだに聞いていない。
私にはそれを聞く理由がなかった。
4:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)
2013/11/16(土) 22:36:57.37 ID:NYEnABb+0
夢かもしれない。
しかし私は夜な夜な焦がれている。
5:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2013/11/16(土) 22:38:01.70 ID:NYEnABb+0
私はこの至上の魔物の心は知らないが、私の心は知られている。
ひだの一つ一つを埋めるように、丁寧に丁寧に、私は愛撫される。
他人を触る時に生まれうる、わずかの焦りもなく、ただただ私のための愛撫。
6:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2013/11/16(土) 22:39:22.56 ID:NYEnABb+0
人を誘惑する魔物は、真に心に寄りそってくれる。
不安、恐怖、疲労、そんなものから生まれる私の精神の飢餓を、その隅々まで感じ取り、
そして過去から歩んできた私の精神の有様、その意識の構造に、
一番にふさわしいものを、一番ふさわしい手段で与えてくれるのだ。
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