過去ログ - 【安価】苗木「今日から2年生か・・・」【ダンロン1+2】
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2013/11/24(日) 06:31:46.87 ID:+b4RrGhv0
都心にある防衛庁庁舎の最上階。
観葉植物が飾られ、アイボリーカラーの壁とグレーのカーペットという清潔感漂うフロアで、人の出入りは少ない。
それもそのはず、そこにあるのは、防衛庁長官の部屋と秘書室のみなのだから。
碓氷京介は長官室のドアをノックした。
中からの「入れ」という声に従い、碓氷は重い扉を開けた。
「失礼します」
「…ああ、碓氷君か」
長官――二階堂一成(にかいどう・かずしげ)は、どろんとした瞳で碓氷を睨んだ。
碓氷はこの瞳が苦手だった。
いや、恐らく側近の中でも、恐れを抱かないものなどいないだろう。
感情が何一つ読み取れないのだから。
「で、何だ?」
「あ、いえ、その…
“硝煙の天使”が動いたそうですね。
何でも、相手は反政府組織のリーダー格だとか」
木下愛の前では無口だった碓氷も、二階堂の前では口が回る。
極度の緊張感から、勝手に動いてしまうのだ。
二階堂は表情を少しも変えず、息を吐いた。
「証拠不十分だった、本拠地も不明だ。
恐らく、奴の仲間が一足先に来て、証拠を隠滅したのだろう」
「…“硝煙の天使”が手引きした…と?」
「…いや。
昨日報告を受けてから半日ほど取調べたが、吐かなかった。
そこまで周りとコンタクトを取れるほど顔が利くわけでもあるまい。
まあ、『遺書らしきものは放置した』とは言っていたから仕置きをしたが。
ヤツは、白だ」
「取調べ…仕置き…ですか」
碓氷は息を呑んだ。二階堂による取調べとは身体に聞くということであり、拷問に等しく、仕置きも名目が違うだけでやることは同じだ。半日続けても吐かないのであれば、恐らくそれは真実だろう。体中を痛めつけられてまで黙秘をしても、本人には何の利益もない。
「話はそれだけか?私はこの後客人に会わねばならんのだが」
言葉の裏で“とっとと出て行け”と言われ、碓氷は背筋を伸ばして一礼した後、そそくさと部屋を出た。碓氷が知りたかったのは、反政府組織についての新しい情報が入ったかどうかということだけであり、こちらとしても用事もないのに二階堂のような無表情な男と同じ空間にいたくはなかったので、何も言われなくても喜んででて言っていたと思うが。碓氷はそのまま外に出て、車を飛ばした。向かった先は、専守防衛軍養成学校――未来の専守防衛軍たちが日々様々なスキルを得るために切磋琢磨している施設である。その横に建てられた集合住宅は、自宅から通うことのできない者が下宿する寮のようなものだ。と言っても、ごく一部の例外を除けば、全員がここに住んでいる。夜の訓練などもあるので、滅多なことでは家に帰ることが許されないのだ。その4階の一室の扉を叩き、開けた。中は短い廊下を抜けると、部屋があるだけのワンルームとなっており、そこに置かれた黒いソファーの上に、1人の少女が腰掛けていた。赤基調のタータンチェックのスカート、レースが付き大きな髑髏が描かれた黒のカットソー、黒いニーハイソックス、黒いリボンが結ばれたツインテール――ゴスパン風の出で立ちをしており、その手には全長40cm程のうさぎのぬいぐるみが掴まれている。そのぬいぐるみは、至る所に包帯が巻かれ、血糊が付けられ、右目には眼帯と、少女の趣向が見て取れる物となっている。少女は碓氷に目を遣り、笑みを浮かべた。
「やっだぁ、碓氷さん。 女の子の部屋に無断で入るなんて、失礼ですよぉ?」
「…ノックはしたが?」
「でも返事してないんですけどぉ?」
大きな瞳、小さな鼻と口――年齢は確か今年で16歳だったと思うが、その年齢とは不相応な幼い顔立ちである。それなのに、その笑顔に、背筋が凍る。
「そうそう、碓氷さん。今朝、指導室から“あの子”が出てくるの見たんですよ。全身血まみれ傷だらけ…そう、まるで、この子みたい」
少女は持っていたぬいぐるみを掲げた。
「反政府組織とのつながりがあるのでは、という嫌疑が掛けられた。 …一応白だと、二階堂先生は仰っていた」
「ふぅん、その言い方だと、碓氷さんはまだ疑ってるんだ?」
「疑わしきは罰するべきだ」
「ふふっ、こっわぁい!」
少女は笑うと、ぬいぐるみをソファーの上に置き、テーブルの上に置かれていたナイフで、胴体を一突きした。
碓氷の背筋に冷たいものが走る。しかし、平静を装い、書類を差し出した。
「11月の例のプログラムの生徒詳細資料だ。読み込んでおけ」
少女は受け取ると、ぱらぱらと資料を流し見た。碓氷はさらに1枚の書類を掲げた。
「これが、お前の任務だ」
「…ふぅん…同士討ちかぁ……やっだなぁ!」
少女はそれを睥睨し、笑った。『嫌だ』という言葉に反して、面白いおもちゃを手に入れた子どものような笑み。プログラムという、自分の命も危険に晒される状況下に置かれるのにもかかわらず、そのことに対する恐怖は微塵も感じられない。ぞっとした。
「…成功率は……?」
「何それ、そんなの訊くの?」
少女はにぃっと笑みを浮かべた。
「あたしを誰だと思ってるの?あたしは“爆炎の天使”…政府の最終兵器…失敗なんてしない。“硝煙”の子みたく甘くもないし。それに、あたしは“ミコト”…命を司る、それが“ミコト”なの」
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