過去ログ - モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」part8
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◆OJ5hxfM1Hu2U
[sage]
2014/01/15(水) 22:14:33.30 ID:HumleWzDO
吹き込む冷たい風に、トミゾの思考は中断された。ガラス戸は閉めたはずだが、いよいよボケたか。
立ち上がり振り向いたトミゾの目に飛び込んだのは、人が通れるほどの大きさに切り抜かれたガラス戸だ。
「バカナ! 金属線入り強化ガラスだぞ!?」
侵入者か!? トミゾは中腰で身構え、前後左右に油断なく正拳突きを繰り出す。社長たる彼は護身用の武術を修めているのだ。
「出てこい賊めッ! ワシの生活、ワシの宝には指一本アバッ!」
背後から首筋に手刀の一撃を受け、トミゾは気絶! 賊は彼を手際よく拘束、抱え上げると、ガラス戸を抜けてテラスに出た。
ネオトーキョー一等地の超高層住宅、地上三百階の上空に、一機の大型ステルスヘリが音もなく待機している。
賊はトミゾ老を担いだままテラスから跳躍、苦もなくステルスヘリに乗り移った。
「お疲れ様です」
キャビン内で待機していたサポートメンバーにトミゾ老を預け、彼女は固いシートに腰掛けた。
通気性の悪いボディスーツの胸元を開け、汗ばんだ素肌を外気に晒す。
その仕種に下品さは感じられない。一仕事を終えリラックスするプロの姿だ。
「なに、こういうスリリングなミッションもたまには悪くないさ」
狭苦しい機内で留守番していたハナを優しく撫でながら、傭兵アイは微笑んだ。
ステルスヘリはネオトーキョーの夜空に溶け込むように姿を消す。
既に遠くなった超高層住宅の一室から、幼い悲鳴が微かに響いていた。
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