過去ログ - オール安価でまどか☆マギカ 7
1- 20
990:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2014/04/17(木) 13:21:46.73 ID:W6RpX5zN0
1時間半ほど前にプログラム最初の生徒同士の殺し合いによる死者が出た、C=06エリアの文学部棟。
その2階には、その時間よりも前からずっと人がいた。
津村翔平(男子12番)は文学部内礼拝室にいた。
ここは恐らく学生が日々礼拝を行う為に作られた場所だろう。
あちこちにステンドグラスがはめられ、上から釣り下がっている電灯は点ければとても綺麗だろう。
置き忘れの聖書がいくつか置いてあり、捲ってみると目次の一部分に“テスト範囲!”と大きく書かれている。
恐らく聖書に関する授業でもあるのだろう。

翔平は元々色素が濃く色黒だが、水泳部に所属して日々屋外で活動しているためか、周りの運動部員と比べても群を抜いて色黒である。
それは、茶髪(周りにはプールの塩素で色が抜けたと言っているが、本当は少しだけ染めている)と大差ないので、よく友達にからかわれる。

その翔平の膝を借りて横になっているのは、幼馴染の薮内桃子(女子19番)だ。
小さい頃から体が弱い桃子は、プログラムという非常事態に巻き込まれて、ショックからか体調を崩した。
少し熱っぽく、しかし顔は青ざめている。
ここに来る前に一度吐いてしまったので仕方がないが。

1時間半前の1階での騒動には、翔平も驚いた。
桃子も怯え、翔平のカッターシャツの裾を震える手で握っていた。
口論だったのか、叫ぶような声が聞こえた。
離れた所の声なので、誰のものかはわからなかったが。
懸念していた銃声のようなものも聞こえなかったので、恐らく何もなかったのだろう、そう思う事にした。

「うぅ…っ」

桃子が膝元で呻き声を上げた。
翔平はその頭をそっと撫でた。
ふわっとウェーブの掛かった柔らかい毛で、気持ちよかった。

「どした?
 もっかいトイレ行くか?」

桃子は小さく頷いた。
翔平は桃子の手を取って立ち上がらせ、1番近いトイレに入った。
水道が使えないので、水は止められてしまっているらしい。
しかし、トイレのタンクにまだ水が残っているので、1回は流す事ができる。
吐瀉物をそのまま放置するのはどうかと思うので、トイレを使わせている。
1番手前のトイレは既に使ったので、今度は2番目だ。

呻く声を聞かれるのは嫌だろう、と思い、翔平はトイレから少し離れた所に腰を下ろした。
首から提げていた地図の入ったクリアファイルに、ポケットに入れていた懐中電灯の光を当てた。
外の電灯が点いているので電気は通っているのだろうが、急に電気を点けると誰かがいた時に見つかってしまうので、それはできなかった。
その誰か、というのはクラスメイト以外ありえないのに、疑ってしまう自分が少し嫌になる。

「…ま、しゃーないよなぁ…うん…」

自分にそう言い聞かせ、そんな自分に笑いが込み上げた。


<<前のレス[*]次のレス[#]>>
1002Res/450.09 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice