36:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/12/01(日) 19:57:46.41 ID:j4MC2eqco
「っ、あ」
そんな彼女を見て、私は何を感じたのか。零れた声は何なのか。
すぐに指は引き抜いたけれど、なぜかその先端は震えている。
返す手をまた伸ばそうとして、止めて、戻した。
一方、使い魔たちが何人か吹き飛ばされるほどの力で暴れていたのもどこへやら、彼女はただ肩で荒く息をしているのみ。
一気に濁ったソウルジェムへ紫色の石をあてがいながら、聞こえているかも分からない言葉をかける。
振り払うように頭を揺らしてから。
声は幸いにも、いつもと同じだった。
「かつてあなた達魔法少女が、希望の果てに辿り着いた存在がこれ」
「そのさらに果て、想いの行き着く先に居るのが、あの子と、私」
「来れるものなら、来てみなさい」
返事はなかった。
とはいえ、無理もないだろう。
黙って濁りを取り終えると、運ぶように指示を下した。
貯めておいたグリーフキューブが、とりあえず無駄になることはなさそうだ。
草葉の陰に転がしておいたインキュベーターに向かって使用済みのそれを放り投げながら、そんなことを思う。
どう繕っても、口元が歪んでしまうのは、隠し切れないようだけど。
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