33:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)
2013/12/07(土) 00:42:33.31 ID:gLkbd9Kt0
「これでしばらくの間は心配ない。けれどいつまでもつか」
腕を離され見てみると、何かの紋章が刻まれていた。
「ああ、大丈夫。それは仮の封印さ。君の能力が覚醒したら消えるよ。もっとも、仮のじゃなくとも君のもつ能力だと消えてしまうかも知れないけどね」
「封印って……。私の能力って……!」
シズ子さんは肩をすくめると手を上げた。混乱して思わず取り乱した私の頭に、男の人の大きな手が大丈夫とでも言うように優しくおかれる。
「落ちついて、はやせちゃん。ちゃんと話すから、ね?それにそんなに興奮すると、リミットがよけい縮まっちゃうわ」
「あ……す、いませ……」
我を取り戻した私は疼き続ける左腕を押さえるとうつむいた。
「謝ることはないよ。無理もない。突然こんなことになって」
「さて、それじゃあ何から話そうかしら。……とりあえず」
シズ子さんはそこで私の顔色をうかがうかのように言葉を切り、私を見た。
私は何も言わずにシズ子さんの次の言葉をまった。
「まず、この世界には二種類の人間がいる。正確に言うと三種類だけどね。普通の人間と、能力を持っている人間。そして、人工的に能力を手に入れた人間。しーちゃんやアタシたちのような人間を能力者、今のあなたのような人間を常人(ノーマル)と呼ぶ。そして、人工的に能力を手に入れた人間を朽人と呼ぶの。朽人は基本、常人には手を出さないけれど、能力者には何かうらみでもあるのかしらね、手を出してくる。そしてそんな朽人の集まる組織をリコリスというの。さっきしーちゃんが戦っていたのはリコリスの一番下っ端ね。多分誰かに造られた“モノ”よ。逆に能力者には組織なんてものはないけれど、それなりに供に行動することが多いの。けど最近、リコリスと能力者が手を組んでるらしいっていうウワサがあるわ」
シズ子さんはそこまで言うと、学校の方へと目を向けた。
その意図が読めずに私はシズ子さんが再び話し始めるのを待った。シズ子さんは私の様子を見ると、やれやれと言うようにクビを振り、しぶしぶ話し出す。
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