90: ◆nlCx7YJs2Q[saga]
2013/12/22(日) 00:04:48.76 ID:00gxN4fro
「待て。何故か?」
ロクでもない予感がした。
「左様なことがあるものか。大司教の聖衣を着せてやろうというに」
やはりロクでもない。帰る。
「良いではないかっ!良いではないかっ!」
その手の偽善は虫唾が走るほどに嫌いだ。
「……貴様、過去に何かあったのか?」
話す必要はない。
「まあ良い。しかし……頼む。私はこの王宮から出ることができぬのだ。万一私が下手を打ち、暗殺でもされようものなら折角の停戦も元の木阿弥だ」
だとしてもこれは俺の仕事ではない。
「お前はまた『渡り鳥』のように国から国へと移るのだろう?ならば今は手が空いているのだろう?このようなことお前にしか頼めぬのだ」
何故だろうか?
「一夜にして国中の子供がいる家という家をはしごするだけの体力を持ち。且つ誰にも悟られること無く家屋に侵入する技術を持つ人間を、私は他に知らぬ」
潜入暗殺の技術でプレゼントを配り歩くサンタがどこにいるというのか。
「おそらく今宵の貴様が初めてであろうな」
馬鹿げている。
「なんだと?苦しゅうない。理由を申してみよ」
『快楽』は確かに『幸福』の一つだろう。それはお前なら理解できるな?
「真実の『幸福』かどうかはわからん。だが誰しも『快楽』を好み、『苦痛』を避けたがる。その意味であるなら、私は確かに『幸福』であろう」
だが、それは殴られて『痛み』に脳を支配されているのと変わらない。一時的なものだ。そして継続的に苦しんでいるやつは一時の幸福で救われたりしない。
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