過去ログ - 日向「信じて送り出した七海が」狛枝「2スレ目かな」
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604:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/12/28(土) 05:08:57.02 ID:XEiCvzkC0
6番目に教室を出た矢口宗樹(男子21番)は、先程からずっとパートナーである金坂葵(女子5番)の後を追っている。
別にストーキングをしているわけではなく、葵が先へ先へと行ってしまうからだ。
確かに宗樹は葵は口を利いたことがない。
葵は無口だ。
外見は髪も染めてピアスも開けて派手だが、そういう連中との付き合いもないらしい。
まあ、宗樹自身も外見に関しては人のこと言える立場じゃない。
茶髪を逆立ててピアスもしている、葵といい勝負だ。

宗樹は女子が嫌いだ。
煩かったり、世話焼きだったり、何考えているかわからない者までいる。
ケンカもネチネチしているようなので、男同士の付き合いの方が好きだ(やらしい意味じゃないぞ)。
今回のことにしても、ペアは男子であることを望んでいた。

「おい待てって!!」

宗樹がそう叫んでみても、葵は無視して行ってしまう。
なので宗樹は声を掛けるのはやめた。
無駄だ、どうせ聞く耳もたないんだから。

 

葵が外に出て、宗樹もそれに続いて外に出た。
ふと左を見た。

「うおっ!!」

宗樹が叫ぶと、葵が振り返り、そして同じ方向を見て目を見開いた。
誰かが倒れていた。
宗樹と葵はその誰かのもとへ駆け寄った。
それは確か2番目くらいに出発した朝倉伸行(男子1番)だった。

伸行とは、元部活仲間だった。
不真面目な態度で浮いた存在だった伸行を疎ましく思い、同調した仲間たちと共謀して、様々な嫌がらせをしたこともあった。
一生馬が合わないと思っていたが、額に穴を開けて事切れている姿を見ると、さすがに胸が痛んだ。

「朝倉…誰が一体……」

「…牧山さんじゃないの?」

初めて葵が口を開いた。
とても静かで、でもどこか威圧感のある感じだ。

「牧山…?」

牧山久美(女子12番)といえば、可愛らしいお嬢様だ。
宗樹の趣味ではないけれども。
確かに伸行とペアで出て行ったのは久美だった。
まさかあんな優しそうな子が人を[ピーーー]とは。
女はやっぱり怖い、裏で何を考えているかわからない。

そう、今目の前にいる葵だってそうだ。
もしかしたら自分を殺そうとしているのかもしれない。
もう試合は始まっているのだから。

葵はすっと立ち上がると、茂みの中に隠れていった。
宗樹もそれを追いかける。
確かにここは人に見つかる場所だ。

 

宗樹はとりあえず葵から距離を置く事にした。
そこで初めてデイパックのジッパーを開けた。
中には色々と入っている。
とりあえず手に持ったコートは邪魔なので羽織った。

「痛っ!」

何かが指にあたり、宗樹は思わず声を上げた。
見ると、右手中指が切れていた。
傷を舐めながら、左手でその何かを取り出した。
それは台所なんかによくある文化包丁だった。
アタリでもなくハズレでもなくといったところだろうか。

 

宗樹はふと考えた。
何をすべきなのだろうか。

とりあえず、葵と今後共に行動する気は全くない。するならバスケットボール部の男子だ。

そもそも、自分がプログラムに選ばれるなんて思いもしなかった。


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