過去ログ - 美穂「一期一会のアルペジオ」
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20: ◆CiplHxdHi6[saga]
2013/12/14(土) 00:18:58.04 ID:g5646tB80
顔を掻きながら彼は名前を聞く。どうしたんだろう?

「な、なな名前、ですか!? え、えとっ! こ、小日向……、小日向美穂です」

よくよく考えると、この時よく素直に名前を教えたものだと思う。もし彼が変質者だったならどうなっていたことか。

「小日向美穂、か。良い名前だね。君にピッタリの名前だ」

「ええ!?」

名前を褒められたのなんて、いつ以来かだろうか。しかも初対面の相手にだ。
恥ずかしそうにはにかんだ笑顔で、そんなクサい台詞を吐く彼の顔を私はまともに見ることが出来なかった。

「も、もしかして気に障った? 俺本心で言ったんだけど……」

しまった! と言うように彼は慌ててフォローを入れる。

「い、いえ! ありがとうございまする!」

「まする?」

「うぅ、そこは繰り返さないでください!」

「あっ、ごめん」

リンゴの様に赤くなっているであろう顔を見られないように、彼の視線から顔をそむけた。


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