過去ログ - 【モバマス】「こんなにも幸せな傷あと」【佐城雪美】
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6:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2013/12/20(金) 22:12:24.32 ID:NFA4OfSv0
 遅れて席に向かって、プロデューサーの隣に座る。

 向かいには桃華ちゃんと……ひとめで緊張してるって分かる、可愛い子。

「わたくしの方から紹介しますわ。この子は橘ありす。小学校卒業を境に、晴れてアイドルになりましたの」

「あ、あのっ……橘、ありすです。初めまして。雪美さんのお話は、桃華から色々と。お会いできて、嬉しいです」

 ありすちゃんが震える声でそう言って、ぺこりと頭を下げた。

「うん……はじめまして」

「で、ご挨拶が遅れましたけれど……雪美、お久しぶりですわ」

「うん……元気、してた?」

「それはもう。雑誌にお呼びいただく機会も増えましたし、年越しイベントにも出していただきましたわ」

「いろいろ……あったんだ」

「……ようやく、雪美の背中が見えたんじゃないかって、勝手にうぬぼれてますわ」

 桃華ちゃんが、寂しそうな顔をして微笑んだ。

「今、桃華はファッション雑誌に連載を持ってるんです。ご存知でしたか?」

 身を乗り出してきたありすちゃんを見て、私は首を横に振る。

「一年間という区切りで、季節が移ろうみたいに、様々な姿の桃華を載せるって企画です」

 私はなんにも言わずに……ただ黙ってる。

「気づきましたか? これ、過去に雪美さんが取り上げられてた企画です。私、にわかで申し訳ないんですけど、当時のバックナンバーを取り寄せました。自然体の雪美さんは、とても可愛くて、綺麗でした。一緒に映るペロちゃんも魅力的でしたし。失礼な言い方かもしれませんけど、桃華にも勝るとも劣らないって感じで」

 顔を上げたありすちゃんの、気の強そうな瞳に、じっと見つめられる。

「ありす、雪美が引いてましてよ。あなたの気の強さは美点だと思いますけれど、威嚇してるみたいですわ」

「あ……えっと……ごめんなさい」

 ばつが悪そうに、ありすちゃんが顔を伏せた。

「いい……気にしてない。ありがとう、褒めてくれて……」

 たくさんの人に見られながら、ペロと一緒に撮影されてた時のことを思い出す。

 あの頃の私……きっと、楽しかった……。

「この世界、辛いこともありますけれど、楽しさがそれを上回りますわ。雪美もそうではなくて?」


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