過去ログ - 【モバマス】「こんなにも幸せな傷あと」【佐城雪美】
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[saga]
2013/12/20(金) 22:11:06.05 ID:NFA4OfSv0
駅前広場に降り積もっていた雪は、もうあとかたもなく溶けていて。
久しぶりに浴びる外の陽射しが、目に痛い。
私はうつむき加減に、腕の中のペロのあたたかさを確かめながら……ゆっくり歩く。
地図に書いてあったのは、前までよくプロデューサーと一緒に行ってた喫茶店。
ペロを連れて行くのは、これが初めて。
店の前に、スーツ姿のプロデューサーと、桃華ちゃん……それと、知らない子。
「ごめん……待った……?」
「いや? ……久しぶりだな、雪美。ちゃんと、ご飯食べてるか?」
「今朝は、ぜんぶ……食べたよ」
偉いぞって、安心したみたいに頷いて……プロデューサー、店に入っていく。
その背中を追いかける桃華ちゃんと目が合って……だけど、なんだか、元気ない。
なにか……あったのかな?
よく分からないけど、怖くなって、ペロを抱く手に力を込めた。
にゃうー、って鳴くペロは、私を元気づけてくれるみたい。
プロデューサーの後に続いて、扉をくぐった私は、接客のお姉さんの前で足を止めた。
「あの……」
お姉さんが、なあに、と中腰になって笑顔で首を傾げる。
「この子……ペロ」
私は腕の中のペロを差し出すみたいにする。
「すごく……おとなしい。他の人にも、迷惑かけない……だから、この子も……いいですか?」
自分は紳士だよって主張するみたいに、ペロがにゃうにゃうって小さく鳴いた。
「えっと……」
お姉さんが、困ったみたいな表情をして、ペロと、私の顔を何度も見比べる。
そのうち、店の奥から年配の男の人が出てきて……お姉さんに事情を聞き始める。
すると、その人は、ペロの頭を笑顔で優しくなでてくれて。
「可愛い猫ちゃんだね。いいですよ、ゆっくりしていって下さい」
「……ありがとう。良かったね、ペロ……」
にゃうー。
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