過去ログ - モバP「ブリッツェンがいなくなった……」
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[saga]
2013/12/24(火) 00:17:40.44 ID:iGL7vRyq0
背中の姉妹が一際大きい声で私への抗議の言葉を発した時。
私は両の後ろ脚に渾身の力を込め、抉らんばかりに大地を蹴った。
視界が大きく開けていく。2つの赤い点滅も、通り過ぎていく「でんしゃ」なる鉄の塊も、全ては私の足下にひざまづく。
私は聖夜の使いの従者ブリッツェン。「稲光」の名を負うトナカイ。聖夜の使者によって選ばれた、特別な力を戴くトナカイ。
大地を駆けるのは、私にとって本懐ではない。稲光の如く天翔けることこそ、私の力の本領であり本望。
そしてこの力を行使できるということが、私と主との心の繋がりがまだ生きていることの証左なのだ。ああ、今この背に
主がいてくれれば。
ともに満天の星空を翔けながら、次はあちらの大陸へ行こう、海を渡ろう、と。ああ主、やはり私の生きる場所は、主の
隣をおいて他にありましょうか。勝手に飛びだした私を主は許してくださいますか。
「ギャーッ!! 飛んでる! 飛んでるぅ!!」
「死んだ……? ねえお姉ちゃん、莉嘉たち死んだの……?」
「うん、召されてるところなのかもねー……いやいや違う違う! ホントに飛んでんだって!」
「生きてる? 生きてるの? よかったー! ……ってぎゃーっ! 飛んでる! 空飛んでるぅ!」
「だから飛んでるっつったしょ!! ちょ、莉嘉暴れないで! マジヤバいから! 落ちちゃうから!」
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