過去ログ - 北沢志保「ありのままで」
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1:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/12/25(水) 20:40:04.87 ID:4msbcYuB0
 志保は自然な笑顔を作ることが苦手です。

笑顔を作ろうとすると強張ってしまい、自分がイメージするような笑顔を作れないのです。

なので、時間がある時には事務所の給湯室へ向かい、置いてある鏡に向かって笑顔の練習をします。

頬をつまんでみたり引っ張ってみたり、目を見開いてみたりウインクを作ってみたりして理想の表情を作るための訓練をしているのです。

その練習は三十分以上に及び、集中しすぎてしまうと向かってくる誰かの足音が聞こえるまで続きます。

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2:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/12/25(水) 20:43:37.81 ID:4msbcYuBo
 ある日、志保がいつものように給湯室へと向かうと人の姿がありました。

「あら、志保ちゃんお疲れさま」、と風花が言いました。

風花は休憩用のお茶を用意しているようで、湯のみと急須を取り出し用意しておいたお盆の上に乗せました。
以下略



3:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/12/25(水) 20:47:33.65 ID:4msbcYuBo
「あ、志保ちゃん、クリスマス会に参加してくれてありがとうね」、部屋を出ようとした志保に声が掛けられました。

 風花さんに誘われた病院でのクリスマス会、この行事こそ今志保が笑顔の訓練に励むことになったきっかけなのです。

思うようにできない笑顔への不安が表情に出たのか、「あの、もしかして不安なことがある?」、と風花がすかさず声をかけました。
以下略



4:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/12/25(水) 20:51:06.59 ID:4msbcYuBo
 志保の中で、クリスマス会が楽しみであることは間違いないのです。

普段はなかなか行けない場所で誰かと交流することができる。

しかも、それが子どもたちともなれば是非笑顔になってもらえるものを届けたいと思いました。
以下略



5:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/12/25(水) 20:54:16.72 ID:4msbcYuBo
 家に帰り着いた志保は、これまで以上に理想の笑顔に近づけるように努力しようと考えていました。

せっかく誘ってくれた風花に迷惑をかけるわけにはいきません。

志保はこれまで調べてきた方法をノートに書きだし、見直し、スマホに収めている過去の活動を振り返り、できる限りの方法で笑顔の秘密を探りました。


6:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/12/25(水) 20:57:38.12 ID:4msbcYuBo
 ノートのページをめくり続けると、「いつもどおり自然に」、と赤く囲んだ文字を見つけました。

いつの日かプロデューサーに笑顔の作り方について相談した時に返ってきた答えです。

志保はその言葉を目にして深呼吸を一つ入れました。「自然か……」、と呟きながら改めて映像を見直します。
以下略



7:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/12/25(水) 21:04:13.44 ID:4msbcYuBo
 しかし、今回子どもたちに見せたい笑顔と画面の中の笑顔はまた少し違いました。

本番までにうまくできるようになるかな。志保はそう考えることは既にうまくいっていないということを理解していました。

結局納得のできる笑顔は作れないまま、明日に支障が出兼ねない時間帯になったので眠ることにしました。
以下略



8:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/12/25(水) 21:10:02.25 ID:4msbcYuBo
 数日後、志保と風花は再び給湯室で顔を合わせました。

その時風花は志保の姿勢に違和感を覚えました。心なしか顔色も優れていないように見えたのです。

「志保ちゃん、もしかして具合が悪いんじゃない?」
以下略



9:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/12/25(水) 21:12:12.71 ID:4msbcYuBo
「あ、そうだ。志保ちゃん今日はこれで終わりなのよね?」

「そうですね……」

「それなら私とちょっとお茶飲んで休憩していかない? ほら、クリスマス会のことも話しておきたいし」と急須を手に振り返りました。
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