87: ◆IpxC/P/Kzg[saga]
2013/12/26(木) 15:16:12.86 ID:254l1QJ3o
俺は。俺は、いつか、あずきに告白されて。
プロデューサーとアイドルという立場に頭を抱え、彼女の幸せのため、と諭して……。
いつか、いつものように戻れると思って、そして、その先で?
「でも、もう、いいの。プロデューサーさん、幸せになってね」
そう言って玄関へと歩き出すあずき。まだだ。俺の話は終わっていない。
彼女を引きとめ、別れを告げようとするあずきに言った。
『今は、アイドルとプロデューサーだ。ファンを裏切ることはできない』
『でも、その後に。その後まで、待っててくれるなら。俺は』
『あの日? あの日、俺が、断ったのは、ただ、そう言いたかった』
何かを思い出そうとしている?
それを聞いて、あずきは歩を止め、驚いてこちらに振り返った。
「なん、で……。私、てっきり、断られたと思って、それで……」
「本当に、待ってるだけでいいの? 私を迎えにきてくれるのっ?」
『ああ。でも、いいのか? まだまだ、ずっと先になるかもしれない』
「いい、いい。プロデューサーさんと、やっと、一緒になれるんだもんっ」
「数年、数十年待ったって、私にはそんなの、少しだよ」
俺は状況を理解しないまま彼女にプロポーズをしたが、それでもあずきは笑っていた。
「やっと」とつぶやき続けるあずきをそっと抱きしめた。プロポーズは成功した。
これからも、彼女と一緒にいられる。そう思っていたら、彼女は言った。
「プロポーズ大作戦、大成功……ですっ」
彼女は笑った。
おわり
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