過去ログ - 男「お前、本当にアンドロイドなのか」AI「なんでんなこと聞くんだ?」
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36: ◆NrFF2h.q26[saga sage]
2014/01/20(月) 16:53:32.06 ID:Djr8fqaVO

三時間ほど海で泳ぎ尽くして、俺がヘトヘトになったところで、日本予定地の開拓センターに帰還することにした。
AIは帰りのジェット機でも全く疲れた様子は無かったが、俺は爆睡していた。



その時に夢を見た。
幼い俺が、同じく幼い少年とあのバトル用アンドロイドのマンガを読んでいる夢だった。
幼い俺はあまり面白いとは思わなかったが、一緒にいる誰かがあまりにも楽しそうに話すので、それを黙って聞いていた。


マンガは好きじゃない。
でも、マンガの話をするこの少年が、好きだった。
そんな夢だった。



目を覚ますと、AIが着いたぞと俺を起こしていた。
さっき見た夢を思い起こすと、数日前マンガを読んではしゃいでいたこのAIを思い出して、なんとなく気まずい気分になった。
身体の疲労ぶりに、明日は筋肉痛だなと思いながら小型ジェット機を降りる。
瞬間、あまりにも寒い冬の空気が襲ってくるのを突っ切り、開拓センター内に駆け込んだ。



夕食を作っていると、AIが興奮冷めやらぬという様子で、海のことをずっと話し続けた。
煩いと言っても話を止めないのを知っているので、黙って聞いてやる。
だが得意気に毒性のあるクラゲに刺されたというので、慌てて刺された腕を見ると、見事に皮膚が炎症していた。


夕食を食べた後にAIが自分の人工知能で修理方法を調べてみると、治すには人工皮膚を培養して接合し直すしかないと言う。
全く面倒臭いオマケが付いてきた。


AIを包装していたケースを倉庫から引っ張り出し、そこに格納されているシャーレの一つを取り出す。
このシャーレの中の万能細胞に、AIの人工皮膚の欠片を与えると、一日でこの万能細胞が同じ人工皮膚に変容し、培養される。
AIの皮膚の炎症部分の量なら、二日ほど培養すればいいらしい。


全く面目無いと平身低頭なAIを鼻で笑いながら、ちゃんと説明書通りに培養し、シャーレを無菌室に保管しておいた。
アンドロイドの身体のくせに、随分と脆いものだ。


それからは寝る前に各地の整備機械の様子をモニターで確認し、簡単な一日のレポートを書くと、風呂に入って読書をして、12時頃に就寝する。
AIはいつもなら暇そうに俺にやたらとひっついてくるが、今日は皮膚の炎症のために大事を取れと個室に押し込めた。
静かに本が読めるので、機嫌が良くなる。
いい気味だ。



第二地球開拓センターの作業員の一日は、こうして終わっていく。






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