過去ログ - オティヌス「見つめる世界」トール「忘れ物を捜しに」
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◆e67wD8MYCo
[saga]
2014/01/22(水) 20:30:10.31 ID:7J10IGLe0
そして消えた人と入れ替わる形でトールの前には一人の女性が刀を携え、たたずむ。
神裂火織。世界に二十人といない聖人の一人。
彼女は長いポニーテールを揺らしながらゆっくりとトールへ歩み寄る。
「……『戦争代理人』と呼ばれるあなたがロンドンに何の用ですか?」
神裂の張りつめた声にトールはわずかに肩をすくめた。
おそらく魔術サイドは『グレムリン』が短期間で急激に台頭した事に目くじらを立てているのだろう。
ましてや『トール』という名は魔術サイドではそこそこ知られている。北欧神話という共通項がある以上、彼女の警戒は当然だった。
「そうやって喧嘩売られると買いたくなるからやめろよ。……目的なんて言うほどのものじゃないんだ」
「でも全く目的がないわけでもない……ですか?」
「まあな。……ちょっと忘れ物を捜してんだ。この世界のどこかにあるはずなんだけど、なかなか見つからなくてな」
トールは心底困った、というような表情をとる。
しかし、そんな突拍子もない話が他人に理解されるはずがない。
「……はぐらかさないでください」
「悪いな。俺はこれでもかなり真面目なんだ。まあ、当てのない世界旅行だと思ってくれ。組織の思惑なんて大それたものは含まれてねえよ」
神裂はじっとトールの目を見つめた。
とても嘘をついているようには感じられない。
でも、
(……私個人で判断できる事ではありませんね)
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