過去ログ - オティヌス「見つめる世界」トール「忘れ物を捜しに」
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3: ◆e67wD8MYCo[saga]
2014/01/18(土) 01:35:51.15 ID:5vB1TAFV0
『資格……? 「グレムリン」にそんなものはない。第一、組織の長たる私が直々に出向いたのだ。これ以上の資格などないだろう』

『確かに、そうかもしれねえがこれは俺の主義だ。……お前だって個人の都合でトップに立ってるんだろ? だったら俺だって個人の都合でその誘い蹴っても構わないはずだ』

『……』

オティヌスには彼が何を言っているのかわからなかった。
いや、きっとトールも自分がどうしたいのかよくわかっていないだろう。
だって、彼は当てもなく真っ赤な夕焼け空を見上げるのだから。

『……綺麗だな。本当に、綺麗だ』

トールの独り言はまるでオティヌスを忘れているかのように風に消されていく。
オティヌスはそんな呆けた老人のようなトールに背を向ける。そして最後に問いかけた。

『……「グレムリン」に入る事はお前の思惑から遠ざかるのか?』

『いいや? 俺、そんな事言ったっけ?』

『ならば、どうしてだ』

トールは初めてオティヌスの方へ振り返った。
少年らしからぬ白く、綺麗な肌が夕日で赤く染まっていく。

『忘れ物があるんだ。それを探しに……』

そう言ってほほ笑んだ少年はゆっくりとオティヌスに背を向け、歩きだす。
彼の言っている事の意味はわからないし、知る必要もないのだろう。
ただ、何となく思った。
意味も必要もない事だけど……考察し、思索してみる価値はあるんじゃないか、と。
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