過去ログ - アーカード「お前のそれは…」エリック「貴方は?」
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1:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/01/27(月) 23:42:25.20 ID:Xw+s6Bea0
エリック「………」

エリック「あれから6年にもなるのか」

陽光も射さぬ、暗く冷たい雨の日であった。
1917年の戦いから正式にベルモンド家の分家リカードの跡取りとなったエリック・リカードは、
故郷スペインに建つ、今は亡き恋人への6回目の墓参りに赴いていた。
あれから時は流れ1923年の9月、図られた忌まわしき大戦を乗り越え、
ヨーロッパを覆った闇を祓っても、世界は未だに平和を勝ち取ることができずにいた。
ここスペインとて例外ではない、現に自分のヴァンパイアハンターという身分の下の保護がなければ、
軍事政権の発足したスペインからはとっくに家族ともどもどこかへ亡命していただろう。
教会はクーデターを支持しているそうだが、とてもうまくいくとは思えない。

「あなた?あまり長くいらっしゃるとお体に障りますよ」

「それに、この娘たちにもよくないですし」

ステラ「…」

ロレッタ「ん…ふ、ぇ」

エリック「…そうだな、もう帰ろう」

丁度去年の始まった頃に彼、エリックは新たに見初めた相手と結婚を迎えた。
恋人の死の以前から親交のあった者だった。
復讐の為の哀しき戦いを終え虚無感に見舞われたエリックを慰め、優しく接し続けた懐の大きい人物であった。
そして今年に入りステラとロレッタ、2人の娘を授かるにも至ったのだ。

「そんなに大事にされていた恋人だったなんて、妬けてしまいますわ」

エリック「…すまなかったな」

「いいんですよ、どれだけ大事だったかなどとうに存じております」

エリック「ありがとう…」

「行きましょう、もう夕暮れ時にもなりますから」

夫婦とその娘たちを乗せて、雨ですっかりぬかるんだ道を超え自動車は墓場を後にしていった。

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