16:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
2014/01/28(火) 22:54:17.67 ID:4dDXRU7No
心音が更に時を刻む。
刻めば刻むほど、過去の情景が網膜を支配していった。
……彼女は後悔しているのだろうか?
あの日、この場所で起きた事を。
あの日、この場所で言った言葉を。
「……そんなはずはない」
「え?」
過去の記憶と今の景色を重ねあわせると、違いというものはいくらでも現れてくる。
見た目の姿もあの時以上に大人びて、言動も更に落ち着きを見せている。
加えて仕事相手もずっと規模が大きくなったと同時に俺達の拠点である事務所も人が増え、全員が集まった日には楽しそうな喧騒が聞こえるようにもなっていた。
全部、全部変わっている。
しかし、それらは全て過去があったからなのであって、今が独立して存在している訳ではない。
もしも翠が俺と出会っていなければアイドルにならなかったし、この場所で思いを吐露していなければすれ違ったまま翠は完全に押し潰されていたのかもしれないのである。
そういう未来にならなかったのは間違いなく過去があるおかげであり、今の俺達の関係が存在しているのは間違いなく彼女が打ち明けてくれたおかげなのだ。
そんな過去を、後悔なんてしていいものか。
「……Pさん?」
脈略のない呟きを聞いて、不思議そうに俺の顔を軽く覗きこむ翠が視界に入る。
純粋で汚れなき視線が俺の瞳を捉えていた。
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