3:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
2014/01/28(火) 22:33:19.28 ID:4dDXRU7No
「全く、慣らされるのも怖い話だ」
俺が事務所に来てどれぐらい経ったのだろう。そして彼女と出会い、何をしてきたのだろう。
その間、途方も無い程の思いを交わしてきたような気がする。
それだけに、降って湧いたこの時間がどうにももどかしくなっているのだった。
「お仕事、ずっと増えてますからね」
若草色の色に身を包んだ翠は、卵焼きを一つ口に入れては味を確かめていた。
事実、彼女が行う仕事というものは過去に比べると大変多くなっている。
とりあえず本業というべきアーティストとして歌を歌いつつ、本人の自然なキャラクターからバラエティにも手を伸ばし、更に最近ではアクターとしての面までも形成しつつあるのだった。
さあ本人に演技など、という考えを少なからず持っていたのも本当だったのだが、存外彼女は自然に役を受け入れているようで、まだまだ彼女のこともわかっていないのだと思ったものだ。
「ありがたいことにな」
そのおかげもあって、事務所はどんどん前に進んでいる。
相変わらず外の景色は変わらないものの、そこに訪れる人間が徐々に増え始めているのが証拠である。
翠自身も先輩としての自覚が一層出てきており、事務所内で後輩と話す姿や自主練に付き合う姿などはよく見かけている。
「……卵焼き、ちょっと甘すぎたでしょうか」
そしてそれとは別に、今目の前にある料理に関しても翠は努力しているようで。
「この甘さ、俺は嫌いじゃないぞ」
「そうですか……ありがとうございます」
持ち前の料理の腕を更に向上させるため、今日の昼食も翠が作っているのであった。
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