53:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[sage]
2014/03/08(土) 13:46:59.87 ID:eSKLiXIi0
QB「記憶の喪失に至るパターンは幾つかある。一つは恒常的に行われている不要な記憶の排除」
QB「二つ目は心に深い外傷を負ったときだ」
QB「絶望や挫折、その他重度のストレスに心が曝されてしまったそんな時」
QB「君たちの心は、無意識の内に忘却を選択するんだ」
ほむら「自分で忘れちゃうの?」
QB「そう、心が壊れてしまわないようにね」
ほむら「……それも成長?」
QB「あるいは遁走とも」
ほむら「それって、現実逃避って言うアレ……?」
QB「ああ、似たようなものだね。しかしこれは別に悪いことではないんだ。精神を正常に保つ為の、良くできた防御反応さ」
ほむら「じゃあ、もしそうなら、思い出しちゃったときは……」
QB「その時心は、再び過去と同程度のショックに見舞われ、重度のストレスに曝露されることになる」
QB「また同じ苦しみを繰り返すのならば、いっそ忘れたままでも僕はそれで良いと思うけどね」
ほむら「うーん……」
QB「ここまでがヒトの記憶と人格を関係付けた場合の話だ。どうだい、理解できたかい?」
ほむら「それは大丈夫……だけど……」
QB「僕が言いたいのはね、暁美ほむら」
QB「忘却という行為は無意識下に於いてごくごく当たり前かつ日常的に行われているのものであり、なんら特殊な行為では無いということなんだ」
QB「そして、人格はそれに伴って左右されるのだから、『記憶の喪失=別人格』という仮定はナンセンスだと、僕はそう思うんだ」
ほむら(……)
キュゥべぇが言った忘却の普遍性は、ほむらにとってはさしたる問題ではなかった。
そもそもほむらの人生に空白の期間はなく、話を聞くと自分で口にした『忘れた』という言葉も、
ほんの僅かにではあるもののニュアンスが違うように思った。
夢の中の少女は、どこかで枝分かれした道を歩んだ、自分とは全く違うもう一つの別な存在ではないかと
目覚める直前に見た少女の表情に、理屈ではなくそう感じていた。
QB「ただ、その上で」
言いよどんだまま俯いているほむらに、キュゥべぇは言葉を続ける。
QB「極めて例外的なものとして君の言う状況に完全に当てはまる場合がある」
ほむら「……!」
もしかしたらこの先が、最も知りたかった部分かもしれないと思い、
ほむらはごくりと喉を鳴らした。
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