過去ログ - 【咲―Saki―】和「咲さんから須賀君を引き剥がしたい」
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33: ◆phFWXDIq6U[sage saga]
2014/02/03(月) 01:02:01.10 ID:jK9D9b23o

「…頭をあげなさい」
京太郎「…はい」

けれども、顔をあげた京太郎君の顔に不安はありませんでした
真正面から父の顔を見据えて、視線は一瞬たりともブレる事はありません
仕事をしている時以上の威圧感すら感じさせる父に真っ向から向き合うその姿にちょっとだけ頼もしさを感じます
この数年の間に社会に揉まれてより逞しくなった彼は、娘さえ怯むような父に対して立派な姿を見せていました

「須賀君は立派な男性だ。真面目で誠実で…将来性もある」
京太郎「ありがとうございます」
和「…お父さん」

…父の言葉に私は安堵しました
一時期はその軽そうな外見を嫌っていた父にも京太郎君の魅力が伝わったのでしょう
なんだかんだで十年も娘と一緒に居るのですから、幾ら父が頑固と言っても評価を改めざるを得なかったのです
…ま、まぁ、私は別にまったく京太郎君への評価を改めるつもりはないですけどね、えぇ
こうして父に結婚の許可をもらいに来たのも彼からプロポーズされて仕方なく…仕方なくですし

「だが、娘はやれん」
和「…え?」

……何を言っているんでしょう
さっきまで京太郎君の事を持ち上げてくれたじゃないですか
それとも…問題は私の方なんでしょうか…?
やっぱり父は…さっきの私の嘘を見抜いて…?
ち、違うんです…それは…ただ素直になれないだけで…
ほ、本当は私だって…京太郎君の事を…

京太郎「僕に何が足りませんか?」
「…足りないものなんてない。君は今の時代には珍しいくらい素晴らしい相手だ。…だが、私はまだ君の事をよく知らない。だからこそ…」

そこで言葉を区切る父の顔は…微妙なものでした
晴れやかなようでもあり…諦めたようでもあり…嬉しそうなようでもあり
様々な感情が混ざり合ったその表情は、けれど、明るいものでした
…でも、それはきっと私の事を父が愛してくれているからなのでしょう
愛して…そして今もまた祝福しようとしてくれているのです

「和との結婚を許可する前に君の事を良く知らないとな」
京太郎「お…お義父さん…」
「…まだ君に義父と呼ばれる筋合いはないはずだが?」
京太郎「す…すみません…!!」

そこでバッと頭を下げる辺り、どうしても最後まで締まらないと言うかなんというか
まぁ、普段、私の前で見せる彼はこの姿が基本なんですけれど
でも、お仕事の時の格好良い姿はもうちょっと見たかったな…なんて…
いえ、別に…か、格好良いなんてちょこっとしか思ってないですけれどね
頼もしいとか…この人で良かったなんて絶対に思っていないです
そんなオカルトなんてあり得ません

「…まったく…明日は休みなんだろう?」
京太郎「あ、はい。そうです」
「じゃあ、今日は朝まで付き合ってもらうぞ」
京太郎「はい。喜んで!」

喜んで、じゃないですよ、もう…
ホント嬉しそうな顔しちゃって…
そんなに私と結婚出来るのが嬉しいんですか?
言っときますけど、私はあんまり嬉しくないですからね
…でも、既に父にも話を通してしまいましたし、逃げ場はないですよね
…だから、仕方ないので…結婚してあげる事にしますよ




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