9:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/02/08(土) 22:59:16.41 ID:0wQbi/d30
響とけんかしたことが朝からずっと頭を離れない。何も悪くないはずの彼女を怒鳴ってしまった罪悪感で仕事も身に入らなかった。
「元気ないな、真美」
プロデューサーに声をかけられた。
「兄ちゃんじゃん」
「仕事、のことじゃなさそうだな。撮影はバッチリだったし」
「可愛く写ってたっしょ?」
「ああ。雑誌の担当者さんもほめてたよ」
「そう」
嬉しくない訳ではなかったが、真美にとって大事なことは今はそれではなかった。
「響とけんかでもしたのか?」
思わず隣にいたプロデューサーの顔を見た。響との関係は誰にも言っていないし、秘密のままのはずだ。
「その様子だと正解だったみたいだな」
「兄ちゃん、なんで」
「今日は響もこっちのスタジオでな。さっき会った時に事務所まで送ろうかって言ったら真美を待ってるって言ってたから。何かあったのかと思ってな」
「……兄ちゃん」
「何だ?」
「今日はひびきんと2人で帰ってもいいかな」
「ああ、響はAスタジオで俺を待っているはずだから」
真美はプロデューサーからそれを聞き終わる前に走り出していた。階段を一段飛ばしで降りながら、期待と不安がまぜこぜの気分のままあっという間にスタジオまで着いた。廊下で手持ち無沙汰にしている響がそこにいた。
「ひびきん!」
「わ、真美。プロデューサーが来ると思ってたのに」
「兄ちゃんには2人で帰るって言った」
「え?」
「一緒に帰ろ」
どういう風に言えば良いかわからなくて思わずそっけなくなってしまった。
ほうっと吐き出した息が白く染まる。お互いに何も話さない空間で手持ち無沙汰になってしまい何度も繰り返していた。真美から謝るべきなのにそれができなくてもどかしかった。
「ま、真美」
しびれを切らしたように響が口を開いた。
17Res/10.07 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。