32: ◆ukweaVAfH6
2014/02/11(火) 17:44:55.44 ID:F0c9oc5V0
男「ま、いっか。とりあえず、敬語はやめましょ?会社なわけじゃないんだし、同士なんだから楽しくやりたいですよ」
女「男さんはどうぞ、お止めになってください。私はちょっと……」
男「そっか、わかったよ。とりあえず、今日はお詫びとしてお昼をご馳走させて!」
女「……ご馳走じゃないのなら、お昼をご一緒させていただいてもいいでしょうか?」
友人に話したら、初対面の男についていくなんて!と怒られてしまいそうだと思ったけれど、私が敬語を止めないと言った時の男さんの悲しそうな表情に気圧されたのと、どう考えても男さんが悪い人だと思えなかったという理由でついつい私は提案を承諾してしまった。
男「ご一緒ありがとう!でも……そっかー女さんは俺に恥をかかせようって言うんだ?」
女「え?」
男「だって、店員さんにどう思われると思う?この男は女に奢ってあげる甲斐性も無いのかっ!って思われるんだよ?」
女「あのー……えっとー……」
男「あははは!冗談冗談!でも、ご馳走ぐらいはさせてくださいな!」
女「あっ!からかいましたねっ!もうっ!」
男「ようやく、ロボットみたいな喋り方やめてくれた!よかったよかった!それじゃあ、行こうか!」
女「あ、はい」
まんまと悪戯に引っ掛かり憤慨したのも束の間、私は差し出された左手を素直に握っていた。俯いて顔を上げられないけれど、きっと男さんは私を見ながらにやにやと笑っているのだろう。何だか悔しい気がする。私は悔しさのあまり握る力を強くしてしまったことで、がっついているように思われないだろうかという何とも見当違いな心配をしながら、恋愛感情を知ってから初めて握る男の人の手に、言い様のない安心感を憶えるのだった。
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