過去ログ - 翠「銀紙に、微かな思いを」
1- 20
15:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
2014/02/12(水) 22:18:47.34 ID:slx1J284o


「水野さんは、Pさんの事は好きですか?」
「なっ――」

 不意に呟いた彼女の問いに、思わずたじろいでしまいました。
 勿論私がPさんの事をどう思っているか、という質問の内容に対してでもありましたが、何より彼女が『そういった事』について話す事に何のためらいも感じていない事に、私は驚いてしまったのです。

「私は好きです。自分がこんな性格なのは自覚してますけど、それを承知で受け入れてくれたPさんですから」
 視線を逸しはせず、ただ真っ直ぐにありすちゃんは私を見つめてきます。

 少し前に時間を巻き戻せば、今の彼女と同一だと言いにくいまでの率直さ。
 その瞳の形はかつてあった私の物だという事に、否応なく気付かされます。


 素直に伝える事。ブレずに思いを貫く事。

「だからチョコレートを送ります。送りたいんです。……水野さんは、本当にそれでいいんですか?」

 昔の私にあったものが、今はなくて。
 昔の彼女になかったものが、今はある。
 それがどれだけ羨ましい事か、考えるまでもありませんでした。

「私は……好きとか、嫌いとか、じゃないけど。でも……すごくいい人なのはわかるから」
 ありすちゃんに誘発されたのか、千鶴さんは少しためらいつつも、そう答えました。

 私はわかっていました。
 Pさんという人物が、良い人間である事を。

 そして、Pさんへ並々ならぬ思いを抱いている人が、この世界に居る事を。





<<前のレス[*]次のレス[#]>>
27Res/32.43 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice