21:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
2014/02/12(水) 22:27:47.05 ID:slx1J284o
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「――はい、翠さん」
外は晴れではあるものの、つんとした空気は未だ健在で、中々外にでるのは億劫になりそうな気温。
用事が出来たことで、時間を無駄にはできないと外出する準備をしていた時、不意に千鶴さんが私に袋を手渡してきました。
スーパーのロゴが印刷された白いビニール袋を持つその手は、とても暖かかったです。
「ええと……なんでしょう?」
とりあえず受け取るような流れだったので受け取りはしましたが、頼んでもいない物を急に渡されても理解はできません。
なので笑みを浮かべた千鶴さんの顔を伺ってから袋に入っていた一番上の物を取り出しました。
「……銀カップ、ですか」
私の手が持ったのは、十個入りと書かれた小さな銀カップのセットでした。
加えて袋には他にもチョコレート作りに使ったんだろうなと思われる物が他にも入っていました。
「ありすちゃんが見つけたレシピに書いてたから買ったんだけど、買いすぎちゃって……」
「あれはレシピを書いた人が悪いんです! たくさん作り過ぎなんです!」
千鶴さんが苦笑すると、荷物を鞄に詰め込んでいたありすちゃんが反論しました。
割と距離はあったはずなんですが、どうやら彼女は耳がいいようです。
「多分今から探して買ってると時間もお金も勿体無いでしょうから、私達のをあげます。頑張ってください」
「はい、ありがとうございます。お二人とも」
つまり、これからチョコレート作りに入る私のために、不要になった道具類を下さったのでした。
ちなみに、これから仕事のない私は早速調理をしようと考えているため、残りの必要な物を買いに行こうとしています。
彼女たちは、自主的ながら私に付いてきてくれるというのです。
見るだけでなく応援もする、というのは彼女たちにとっても一つの楽しみなのかもしれません。
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