23:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[sage]
2014/02/15(土) 00:30:19.99 ID:lf+VB/Zqo
「その痛みも我々がかけた制限によるものです。とりあえず話す上で邪魔なので
あなたのは外しました。とは言ってもすぐに全ては思い出せないでしょうけど」
「私は……誰なの?」
「回答は二つ。今のあなたである渋谷凛はかつて存在したアイドルの一人です。
そして本来のあなたはこの世界に住むただの人間の一人です」
「かつて存在……」
「ええ。昔アイドル時代というのがあったんですよ。猫も杓子もアイドルアイドル。
世界的なアイドルブームでした。渋谷凛はそれこそ一時代の担い手と言っても言
いぐらいの素晴らしいアイドルだったんです。神谷奈緒や北条加蓮もその時代の
アイドルでした。しかしその繁栄の時代も唐突に終わりを迎えます。
人間同士の戦争です」
「戦争?」
「争いですよ。まぁあなたが想像するものを遥かに越えるものですけど。なにせそ
の戦争でこの星の大部分の動植物が死に絶え、人の住めぬ汚染された地となり、
そして人自身もほとんどいなくなりましたから」
凛にはそれがどれほど悲惨なものであるか全く理解が出来ない。
「その戦いで生き残った人間は深い悲しみに包まれ、そして疲れてしまった。こ
の先、人類が再び繁栄したらまたこのような争いが生まれるのか。自分達は同じ
種族すら手を組み合うことが出来ないのか。だから人類は決意したのです。人
間の行く末を、この星の未来を自分達を越える知性を持つものに託そうと。
残された人材、資源、技術を駆使し、人間はついに戦争前にも生み出すことの出
来なかった自己進化するロボットを作り出すことに成功しました」
「待って。話がよくわからない」
「我慢してください。もう終わります。それにこれも全部必要な話なんですから。
そのロボットは人間の願いを受け入れ、進化し、この星が生まれてから誰も成し
遂げることのなかった世界征服をいとも簡単に行い、人類を制圧、洗脳しました。
洗脳の内容は多岐に渡りますが、思考と思想の制限を始め、未来のための記録を
残すのを禁じたり、宗教をなくしたり、この星への認識を変えさせたりと極力手
を加えず、自らの力のみで発展も滅亡もすることのないように調整されています。
その最適化の実験と研究の末に、人は何かしらの崇拝対象が必要だということが
わかりました。しかし再び宗教を持たせれば争いが起きる可能性がある。そう考
えたロボットは失われた過去を掘り起こし、一つの可能性を見つけました」
ちひろが凛を見据える。
「それがあなたたちアイドルです」
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