過去ログ - 結衣「おぼえてる?」
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1:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/03/02(日) 17:30:56.94 ID:cdt9ilkTo

 京子と「約束の話」をしたのは、いつもと同じような日のことだった。

 いつもと同じ平日の午後。
 いつもと変わらない休み時間。
 私の視界に映っているのは教室の真ん中でクラスメートと話す金髪の幼なじみの姿。
 いつもと同じ金色。

 その日私は机に向かって頬杖をついて、なにをすることもなく私はその金色を見ていた。


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2:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/03/02(日) 17:31:52.58 ID:cdt9ilkTo

 京子には友人が多い。
 私だって人並みの付き合いはするけれど、京子の場合はクラス中が友達という感じだ。
 私がよく話す綾乃や千歳だって、どちらかと言えば京子の友達って感じだし。
 もし京子がいなかったら、教室の私は「静かなやつ」という評価になるのかもしれないな。
以下略



3:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/03/02(日) 17:32:56.16 ID:cdt9ilkTo

「京子はいつも結衣といっしょにいるよね」
 と、京子の話し相手のクラスメートが言った。

「うん、結衣と私はマブダチだかんなー」
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2014/03/02(日) 17:33:27.37 ID:cdt9ilkTo

 それからすぐに授業開始のチャイムが鳴って、京子とクラスメートの会話は打ち切りになったようだ。
 授業が始まっても、私は上の空だった。

 ――夫婦、ね。
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5:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/03/02(日) 17:34:20.43 ID:cdt9ilkTo

 私は自分のいらだちの理由を追求することはせず、そういえば、前にもこんなことがあったなと考えた。
 小学生の頃は、よくクラスの男子に夫婦みたいだってからかわれたっけ。
 あのころの私は、自覚はなかったけれど、男まさりなところがあったし。
 それに反して「女の子」らしかった小さいころの京子と一緒にいると、大人からもよく「男の子」と「女の子」の二人組に間違われた。
以下略



6:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/03/02(日) 17:34:58.04 ID:cdt9ilkTo

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2014/03/02(日) 17:35:24.64 ID:cdt9ilkTo

「今日はどうしたの」
 なるべくやさしく聞こえるように、私は声をかけた。
 やさしくするのは得意じゃなかった。
 うまくできるかわからない。
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2014/03/02(日) 17:36:07.58 ID:cdt9ilkTo

 京子は私の質問に答えない。

「……またいじめられた?」
 私は隣に座って身体を震わせている京子をよく観察する。
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9:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/03/02(日) 17:36:42.87 ID:cdt9ilkTo

「じゃあ、どうしたの? 給食、食べられなくて、先生に怒られた?」

「わたし、そんなに好き嫌いしないもん」

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10:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/03/02(日) 17:37:34.95 ID:cdt9ilkTo

「京子、わたしたち、今日は帰ったらあかりと遊ぶ約束してたよな」

「うん……」

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11:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/03/02(日) 17:38:06.28 ID:cdt9ilkTo

 悔しい。
 私だって、小学生のお姉さんなのに。
 あかりがいなきゃ、京子を笑わせることもできないのか?
 私は唇をグッと噛んだ。
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12:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/03/02(日) 17:38:45.89 ID:cdt9ilkTo

 京子を驚かせないように、やさしく京子の手を掴む。
 京子は一瞬ビクリとするが、抵抗はしない。
「京子、私待つから」
 私にできるかぎりの、優しい声で言う。
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13:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/03/02(日) 17:39:43.99 ID:cdt9ilkTo

「あのね」
 しばらくして、京子はまだ半分泣き声で喋り始めた。
「今日、クラスの子たちと、お昼休みに、お話してたの」

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14:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/03/02(日) 17:40:22.23 ID:cdt9ilkTo

「どうしたんだ? そいつらに悪口言われたのか?」

「ううん、違うよ……『京子ちゃんは、どうするの?』って聞かれたの。でも、私なんにも言えなくて……」

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15:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/03/02(日) 17:41:14.92 ID:cdt9ilkTo

「ゆ、結衣?」

「京子と結婚したいやつなんか、たくさんいるって」

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16:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/03/02(日) 17:41:48.82 ID:cdt9ilkTo

「本当だよ。嘘じゃない。ぜったい、嘘じゃない。
 京子はかわいいし、優しいんだから、ぜったい結婚できるよ」

「私と結婚したい人なんかいないもん」
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17:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/03/02(日) 17:42:49.19 ID:cdt9ilkTo

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18:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/03/02(日) 17:44:02.70 ID:cdt9ilkTo

「結衣が教室で寝るなんて、珍しいね。昨日遅かったの?」

「そうじゃないけど、なんか日差しが気持ちよくって」
 教室を出て、いつもの部室に向かいながら話す。
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19:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/03/02(日) 17:44:28.08 ID:cdt9ilkTo

「嘘」
 私は先ほどまで見ていた夢を思い出して、顔が赤くなるのを感じる。
 まさか、変なこと言ってないよな。

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20:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/03/02(日) 17:44:59.60 ID:cdt9ilkTo

「……京子がかわいかったころの夢」

「今もかわいいじゃん?」
 と言って、ぐいっと顔を近づけてくる。
以下略



21:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/03/02(日) 17:45:30.43 ID:cdt9ilkTo

 今の中学生の京子。
 昔から大して変わらない幼い顔。
 でも、今の彼女は昔よりさらに魅力的で。
 かわいくて。
以下略



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