過去ログ - 千早「先生と私」
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2:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/03/02(日) 20:30:58.39 ID:bEFC5GTXo
 私は学校が嫌いだった。ずっと、嫌いだった。
他人の話し声が嫌いだ。笑い声も嫌いだ。怒鳴り声も、すすり泣く声も嫌いだ。

 耳慣れた音、メトロノームの規則正しい音に合わせて、
低い声から高い声まで長く発声する。
今、校舎の隅っこ、この階段の踊り場は素晴らしい秩序に満たされていた。テンポ60、12拍。

 コツ、コツ、という生真面目な音と自分で自分の声を支配する感覚。
基礎練習がつまらないなんて、にわかには信じられないことだ。

 放課後の四時から五時くらいまで、ここは何にでもなるのだった。
聖堂、武道館、海、砂漠。私が思い浮かべる何もかもに。
モダンな造りの新校舎の向かい、取り残された古ぼけた旧校舎の面影は消し去って。

 基礎練習を終えてから、私は迷う。何を歌おうか。

 別段、一曲、二曲をどこかで発表するわけじゃない。
合唱部は目標があるという一点だけ、羨ましかった。

 今日は何にしようか。今の気分は――これだ、と思う曲が耳に浮かび上がってくる。
イントロがおずおずと私の前に跪く。

 息を一つ吸い込んだところで、幻惑の音を引き裂かれる。くしゃみだった。

 誰の?


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