16: ◆HmDjqt09PA[saga]
2014/03/03(月) 00:42:18.87 ID:oBQCjzsb0
少女は、気に入らない。ただ目の前に立つ少年が気に入らない。
足元で昏倒している不良達のことなど、もう頭の隅にもなかった。
14年間の人生で、限定的にいうなら、超能力者と認められてから、少女の攻撃から免れたものなど誰一人としていない。
自分をガキと罵ったことも気に入らなかったが、自分の攻撃を意図も簡単に交わされたことがもっと気に入らなかった。
能力の発現当初からレベル5だった者が多い中で、少女は珍しく発現当初レベル1だった。
それから努力を重ね超能力者へと登りつめた彼女にとって、超能力者という称号は、彼女の自信の根源となっている。
強さこそが彼女のアイデンティティ。
故に気に入らなかった。
意図も簡単に自分の攻撃を交わした目の前の男が。
そして同時に心の何処かで歓喜していた。
やっと見つけた、『自分と対等かもしれない人間』の存在に。
強大な能力ゆえに、少女が本気を出すことは許されない。
それでも自分の力を試したいという欲求は、能力者なら誰もが持ち合わせている。
だから学園都市では、能力者同士の抗争が後を絶たないのだろう。
少女の場合はいなかっただけなのかもしれない。自分と対等な、力を試せる相手が。
この日、学園都市の広告塔・模範生のお嬢様は、自らにまとわりつくレッテルを振り払い、本性をむき出しにする。
青白い火花を散らす、誰もが恐怖するであろうその姿にさえも、少年は全く動じた様子を見せない。
少女の口元が緩む。
少女の好戦的な目に、少年はただ溜息を漏らすばかりであった。
958Res/386.84 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。