過去ログ - 【ストパン】土方圭助の憂鬱 その3【土方×もっさん】
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16:土方圭助 ◆SWi.TNPI7Y[saga]
2014/03/05(水) 23:06:10.29 ID:lUc31DTl0
それから数日ののち、私たちが横須賀に帰る日がやってきた。
舞鶴駅の前では、鎮守府指令長官主催による壮大な壮行会が行われている。
扶桑国内における坂本少佐の人気はやはりかなりのものがあるようで、舞鶴駅前の広場には身動きができないほどの聴衆が詰めかけていた。
そんな聴衆に向けて壇上から何事か話している長官閣下の姿を、私は少し離れたところから見るともなしに眺めていた。

「……土方君」

不意に後ろから声を掛けられ、振り向くと北郷中佐が立っている。
私はともかく、舞鶴鎮守府の関係者である中佐がこんなところにいてよいのだろうか。
そんな私の驚きを読み取ったのだろう、中佐は苦笑して答える。

「壮行会と言っても長官閣下の政治ショーのようなものだからな。私はお呼びでないらしい」
「…………」
「こら、そんな顔をするな」
「……申し訳ありません」

内心の怒りが思わず表情に出てしまったようで、中佐に窘められる。
先日の急な講演依頼と言い、どうもこちらの長官閣下には好意的になれそうにない。
中佐は笑いを収めると、話しだした。

「まぁ、そんなことより、先日君に言ったことを覚えているか?」
「は」
「ならばいい」

忘れるわけがない。
私の返事に、中佐は表情を緩める。

「坂本も、君のことはかなり信頼しているようだ。だから……」

そこで言葉を切り、中佐は私の目を正面から覗き込んだ。

「坂本の事、よろしく頼む」
「……はい!」
「いい返事だ。それではな。また壮健で再会できることを祈っているよ」

そう言うと中佐は私に小さく手を振り、踵を返して離れていった。
その後姿が見えなくなるまで敬礼を送り続け、私は再び駅の方へと視線を転じる。
長官閣下の話は、まだ続いていた。





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