100: ◆K27FRRVqmQ[saga]
2014/06/15(日) 06:26:33.36 ID:qkpDdz6hO
ひだまり荘 庭
宮子「ほらほら、これ!」
乃莉「……?」
101: ◆K27FRRVqmQ[saga]
2014/06/15(日) 06:28:28.89 ID:qkpDdz6hO
宮子「えー、私はクローバーっていったらちっちゃい頃からこれのことだと思ってたんだけど」
ゆの「んー、九州だと違うのかな……?」
乃莉「ちょっと調べてみますか?今パソコンつけっぱにしてあるんで」
102: ◆K27FRRVqmQ[saga]
2014/06/15(日) 06:32:45.42 ID:qkpDdz6hO
クローバーの生えている庭の一角の陽だまりはそれほど広くないとはいえ、ひとつひとつ葉の数を確認するのには
時間がかかるようで、宮子さんは時々首をひねりながら黙々と作業していた。
2、3分くらい経って、乃莉ちゃんが戻ってきた。
103: ◆K27FRRVqmQ[saga]
2014/06/15(日) 07:12:00.64 ID:qkpDdz6hO
なんだか出鼻をくじかれたような気分になったけれど、私たちも四葉のクローバー探しを始めた。
先に探し始めた宮子さんもまだ見つけていないらしく、地面に顔を近づけている。
ゆのさんが宮子さんの隣に行き、私と乃莉ちゃんはその反対側で探すことにした。
104: ◆K27FRRVqmQ[saga]
2014/06/15(日) 07:13:49.90 ID:qkpDdz6hO
乃莉「なずなは、見つけたらどうすんの?」
なずな「えっと……」
なずな「私も、何かするってわけじゃないんだけど」
105: ◆K27FRRVqmQ[saga]
2014/06/15(日) 07:25:31.18 ID:qkpDdz6hO
乃莉「……クローバーって、日本語ではシロツメクサっていうんだって」
なずな「シロツメクサ?」
乃莉「うん、『白い』に『詰める』に草で、白詰草。昔日本に入ってきたときに、あれ、緩衝剤、っていうの?」
106: ◆K27FRRVqmQ[saga]
2014/06/15(日) 07:29:54.12 ID:qkpDdz6hO
プチプチ、かぁ。
去年、ひだまり荘に引っ越してきたときの光景を思い出す。
段ボールにぎっしりと詰まったプチプチから、中身をひとつひとつ取り出して……確か途中で寝ちゃったんだっけ。
初めての一人暮らしの不安でいっぱいだったあの日。そして、乃莉ちゃんと出会った日。
今、別れの不安で張り裂けそうな私は、あの日から少しでも変わっているのかな……
107: ◆K27FRRVqmQ[saga]
2014/06/15(日) 07:34:23.91 ID:qkpDdz6hO
それから10分くらい探したけれど、四葉のクローバーは見つからなかった。
ゆのさんと宮子さんはもう探す手を止めてお喋りしている。
もう一通り探し尽くしてしまったし、これ以上乃莉ちゃんを付きあわせるのも悪いと思って、
ぱんぱん、と手に付いた土を払って立ち上がり、乃莉ちゃんの方を向く。
乃莉ちゃんも立ち上がり、ひとつ息を吐いた。
108: ◆K27FRRVqmQ[saga]
2014/06/15(日) 07:39:11.11 ID:qkpDdz6hO
春のひだまり荘の一角に、一面のクローバーが生い茂っている風景を想像する。
そのどこかには、きっと四葉のクローバーも。
巡り来る季節に幸運のしるしが隠れているのだとしたら、何だかちょっとだけ勇気を貰えるような気がした。
109: ◆K27FRRVqmQ[saga]
2014/06/15(日) 07:41:32.56 ID:qkpDdz6hO
そう言って、ポケットから飛び出て揺れるティーニーのストラップをなでる。
乃莉ちゃんはちょっと不思議そうな面持ちで、でも真剣な表情で、それを見つめていた。
なずな「ひだまり荘で皆と出会って」
110: ◆K27FRRVqmQ[saga]
2014/06/15(日) 07:45:25.24 ID:qkpDdz6hO
今の私には、乃莉ちゃんと離れることが幸せだなんて思えないけれど、
それでも変わっていこうとしている私を、このクローバーたちが覚えていてくれるのだとしたら。
なずな「……ありがと、乃莉ちゃん」
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