過去ログ - なずな「シロツメクサの願い」
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177: ◆K27FRRVqmQ[saga]
2014/08/03(日) 09:35:14.85 ID:bXxSq3Ge0
なんでこんなところに?
混乱しながら葉の枚数を目で数える。いち、に、さん、よん……
四葉の、クローバー……?

乃莉ちゃん!
以下略



178: ◆K27FRRVqmQ[saga]
2014/08/03(日) 09:40:46.98 ID:bXxSq3Ge0
1年前の、ひだまり荘への引っ越しの日と、同じ道を同じ自転車で走っていく。

去年は不安で胸がいっぱいだったけれど、今は違う。
だって、どんなに不安でも、怖くても、寂しくても、変わっていく勇気をひだまり荘で貰ったんだから。

以下略



179: ◆K27FRRVqmQ[saga]
2014/08/03(日) 09:42:45.76 ID:bXxSq3Ge0
なずな「ねえ、乃莉ちゃん、言ってたよね。私に引っ越してラッキーだったって思えるようになってほしいって」

乃莉「へ?……ああ、クローバー探してたとき?」

なずな「うん」
以下略



180: ◆K27FRRVqmQ[saga]
2014/08/03(日) 09:44:35.18 ID:bXxSq3Ge0
なずな「私の大好きな人が、願っていてくれるから」

なずな「これからの私が、きっと幸運であるように、って」

乃莉「……それって」
以下略



181: ◆K27FRRVqmQ[saga]
2014/08/03(日) 09:47:24.63 ID:bXxSq3Ge0
もっと大切なこと。一番大切なこと。
それを、どんなふうに言葉にすればいいのか分からなくなって、言葉を繋げられなくなった。
そんな私を見る乃莉ちゃんの表情が、ふわりとした優しい微笑みに変わったのが、私の目にスローモーションで映る。
ふと視線を落とすと、その時初めて四葉のクローバーをまだ手に持っていたことに気づいた。
その四枚の葉が、まるで私にきっと大丈夫、と語りかけているように感じられた。
以下略



182: ◆K27FRRVqmQ[saga]
2014/08/03(日) 09:48:42.79 ID:bXxSq3Ge0
目を開くと、風がそよいだ。
柔らかい空気を感じて、何故だか、季節が巡ってまた春がきた、と思った。
新しい季節に、新しい大切な風景が、きっとまた生まれる。
だから。

以下略



183: ◆K27FRRVqmQ[saga]
2014/08/03(日) 09:50:00.75 ID:bXxSq3Ge0

なずな「乃莉ちゃん、大好き」



184: ◆K27FRRVqmQ[saga]
2014/08/03(日) 09:54:39.96 ID:bXxSq3Ge0
乃莉「……なずな」

なずな「変かもしれないけどね、私、ずっと……」

乃莉「ううん」
以下略



185: ◆K27FRRVqmQ[saga]
2014/08/03(日) 10:13:48.45 ID:bXxSq3Ge0
突然、私を抱きしめる乃莉ちゃんの腕が緩んだ。
私が顔を上げるよりも早く、乃莉ちゃんが私の手を取った。


乃莉「なずな。こっち」
以下略



186: ◆K27FRRVqmQ[saga]
2014/08/03(日) 10:20:48.00 ID:bXxSq3Ge0
一面に生い茂るクローバーの緑の中に、たったひとつ、白く可憐な花が咲いていた。


乃莉「なずながいてくれるからだよ」

以下略



187: ◆K27FRRVqmQ[saga]
2014/08/03(日) 10:23:43.01 ID:bXxSq3Ge0
乃莉ちゃんはそういったきり、何も言わずに私をずっと見つめていた。
私も言葉が見つからず、だんだんと目頭が熱くなるのを感じながら乃莉ちゃんを見つめ返す。
風が二人の間を通り抜けていった。
もうすっかり暖かくなった風は私の頬を優しく撫でていき、目の奥に溜まった涙を乾かしてくれる。

以下略



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