過去ログ - 一夏「出会いが人を変えるというのなら――――――」
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4: ◆G4SP/HSOik[saga]
2014/03/07(金) 08:54:38.80 ID:kNwJPS9B0

担当官「この姉妹の父親、――――――篠ノ之 柳韻という神社の神主は大し御人だった」

担当官「昔気質といえば女尊男卑の今の世の中じゃ聞こえは悪いが、古き良き父性の持ち主で厳格ながらも清々しい人物であった」

担当官「苦渋の決断の末に、重要人物保護プログラムを受け容れてくれたが…………」

担当官「結果として、何度も戸籍や住居を変えられて、最終的には一家離散となってしまった…………」

担当官「今どこにいるのだ、柳韻さん…………私に篠ノ之流剣術の奥義を伝えてそれっきりだ」

担当官「あの子はどうしようもなく不器用で、そしてこの理不尽に耐えるだけの心の強さは持っていない…………荒んでしまったよ」

担当官「――――――不幸中の幸いと言っていいのだろうか、」

担当官「篠ノ之一家の重要人物保護プログラムの担当官として、」

担当官「この私がずっと付き添ってあげられたから幾分かは気持ちを汲み取ってやれたが…………」ハア

担当官「柳韻さん。あなたから預けられた子はこのままだと――――――」


政府高官「やあ、きみ! あの娘はIS学園に入ってくれる気になってくれたかい?」ニコニコ


担当官「…………ダメですね(――――――この俗物がっ!)」ハア

担当官「ISのせいで一家離散の憂き目に遭って今までの全てを捨てさせられたのに、触れたくないと思うのが普通だとは思いませんか?」

政府高官「しかし、あの“篠ノ之博士の妹”なのだぞ? 妹のために篠ノ之博士が何かをしてくれると期待してもバチは当たらんだろう?」

担当官「そういう目で見るのは対象の心証を害しますよ」

担当官「今の彼女に残ったものは、」


――――――“篠ノ之博士の妹”というレッテルだけ。


担当官「多感な思春期を迎える少女にはあまりにも残酷な話ですよ」

政府高官「だが、姉との繋がりはまだ残っているだろう? 今でも連絡は取り合っている――――――」

担当官「だから何です? 私の仕事は重要人物保護プログラムの監視員であり担当官です」

担当官「私は普通の生活を送る権利を奪われた保護対象の便宜を図り、対象が健やかなる一生を送れるように最善を尽くすものです」


担当官「今年の中学女子剣道全国大会で本名をリークしてしまった責任の追及はまだですよ?」


政府高官「そ、それはだな…………」

担当官「最初から“篠ノ之 箒”でいていいのなら、最初からその名を奪われなければよかったものを……!」ギロッ

担当官「おかげで、大会優勝の余韻に浸る間もなくまた引っ越しですよ……!」

担当官「新しい受け入れ先を探して――――――! 対象にまた引っ越しさせる準備をさせるだけで――――――!」

担当官「いったいどれだけの損失が出たのかわかってるんですか! それを何度も! 税金の無駄、徒労ですよ!」

担当官「それに、荒れた剣筋ではあったが純粋な強さに惹かれた可愛い後輩だってできたのに――――――!」

担当官「ようやく、少しずつ居心地がよくなってきたと思えてきたのに――――――!」

担当官「積み上げてきた思い出も努力も何もかも、――――――強制移動で全てが台無しだ! ますます彼女の世界を閉じることになったんです!」

担当官「――――――『友達を作ること』を完全に諦めてしまった!」

政府高官「むむむ」



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