15:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/03/14(金) 02:54:07.40 ID:JFWlTEyz0
「多少筋肉の衰えはあるけど、感覚の問題だよ。数日リハビリをすれば歩け、いや君の事だ。すぐに元のように動けるかもしれないね?」
「そうですか」
「リハビリは明日から。今日はゆっくり休むといいね?」
「……はい。ありがとうございました」
簡単な診察だけでカエル顔の医者は病室を出て行った。
美琴は居ない。医者もナースも居ない。
上条はベッドに横たわりながら考え事をしていた。
(二年……か)
右方のフィアンマとの戦いは上条からすれば昨日の事だ。
しかし上条が寝ている間に世界は動いていた。カエル顔の医者はあまり変わっていなかったが、美琴は違う。
確実に二年前より大人となっていた。それは見た目だけではない。精神面でもだ。
では他の人間はどうだろう。
土御門や青髪、吹寄や姫神。上条のクラスメイトは三年生だ。本来上条の後輩になるはずだった人間も、今は先輩である。
怖いと、素直に感じた。自分一人だけが時の流れに取り残されていることが。その現実が、必ずやって来て、その時間が刻一刻と迫ってきている事が。
(……あ、携帯)
ベッドの横の台に上条の携帯は置いてあった。
カエルのストラップは組紐が新しくなっていた。美琴が付け直してくれたのだろうか。
携帯を開く。電源は付いていた。どこも壊れた様子はない。
何となく、電話帳を開いた。そして彼女に電話をかける。
『アンタ、どうしたのよ』
「ん、あー、いや。ストラップありがとうな」
『わざわざそんな事で掛けてきたの?』
「ま、病院は暇なんだよ」
『そ。言っとくけどあのストラップ、一応お揃いなんだから、もう失くさないでよ』
「わかったよ」
『ん?男の声?誰だれー?』『あ、ちょっ!』』
突然携帯の向こうが騒がしくなった。携帯の取り合いでも起きているのか。
やっと静かになったかと思えば美琴とは違う声が上条に話しかけた。
『やっほー初めまして!もしかしてみことの彼氏さん?』
「ぶっ!な、何言ってんだ!?」
突然の発言に焦りを見せる上条。携帯の向こうでも美琴が何かを喚いている。
『えー、絶対そうだと思ったのにー』
「俺と御坂はまだ付き合ってないからな」
『まだってことは、これからという可能性があるってこと?』
「……さぁな。もう切るぞ」
『あ、ちょっ――』
電話を終わらせて携帯を閉じた。
思わぬ乱入者には戸惑わされたが、美琴と話しができ安心した。
心の中の憑き物がドッと落ちたようだった。
247Res/46.45 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。