35:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga sage]
2014/03/14(金) 12:02:45.99 ID:SEOg1ANDO
少女「〜♪ 〜〜♪」
気分がノってきて少女が鼻歌なんか歌い始めたところ、ふと魔女が思い出したように自分の手のひらを叩き合わせた。
ババ「おっと忘れておった。服の代金を貰おうか?」
少女「……え? お金?」
少女は踊りの途中で片腕と片脚を上げた珍妙なポーズのまま動きを止め、首だけを動かして魔女を見た。
魔女はつまらなそうに小さく鼻から息を吐く。
ババ「なんじゃ? タダで貰えるとでも思ったか?」
少女「あっ、いやその……えへへ?」
身体を曲げてシナを作ると、少女は舌をぺろりと出して満面のスマイルを魔女に返す。
瞬間、ぴきりと魔女のこめかみに青筋が浮かんだ。
ババ「何が『えへへ』じゃボケナスが!」
少女「ひぃっ!?」
ババ「可愛らしくすればスルーしてもらえるとでも思ったか、このたわけ者が!!
こちらは服を与えてやった。おぬしはワシにその対価を支払うのが筋というものじゃ!」
少女「す、すいませんすいません! でもわたし文無しで……」
ババ「そんなの知っておるわ。
何も持たずにボロボロになって森に迷い込んできた時点で、おぬしが金と縁遠い人間だと丸分かりじゃ」
少女「ほへっ? ならなんで?」
ババ「なにも今すぐ払えと言う訳ではない。
今は払えずとも、いずれは金を用意して払ってもらう、まあ将来払いという事じゃ。
それで、おぬしに払う気はあるのか?」
少女「す、すぐに違う服を探して来ますのでその間だけ……ダメ?」
ババ「ダメじゃ。今すぐ返すか、それとも買うか、どちらかを選べ」
少女「う、うぅ……」
少女は頭を抱えた。
少女の父は村の帳簿係を任されていた。
それも裕福とは真逆の貧しい寒村の帳簿係だ。
少女の記憶にある父は、いつも困ったように「金が無い」と唸っていた。
そんな父の背中を、少女はお金は恐ろしい物だという忠訓として受け取っていた。
そんな生い立ちもあり、少女はお金にちょっとした忌避感を持っていたが、やはり背に腹は変えられなかった。
少女「……買いの方向で」
ババ「うむ、心得た。変更は聞かぬので忘れぬように」
少女「ふう……」
苦渋の決断。
だが仕方ない。
やっぱり全裸で動き回るのは遠慮したかった。
少女「ところで、この服の値段っていくらですか?」
何の気なしに訊ねながら少女もだいたいの目算を立てる。
――村の服が2ゴールド、村長さんの奥さんが自慢してる服が100ゴールドだから、だいたい……
茶と翠玉の瞳をさまよわせながら考える少女に、魔女は普通に答えた。
ババ「10万ゴールド」
すてーん、と少女は見事にすっころんだ。
86Res/99.94 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。