182:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/04/28(月) 18:38:53.72 ID:S3TlNWjd0
幸子は、みくの様に軽いステップを踏み。
卯月の様に真っ直ぐ進んで。
智絵里の様に、美しく、華が咲く花壇の前に立ち。
まゆの様に、凛と姿勢を正し。
こずえの様に、ただ無邪気に、無垢に笑った。
くるり、とそのまま一回転。
街灯だけが光る、暗闇の中で。
幸子が、幸子だけが、この場で、殊更に輝いていた。
「……っ」
男は、ハッと息を呑んだ。
それは、あまりにも浮世離れした光景だった。
今の幸子は、完全で無欠だった。
彼が求めた、アイドルの頂上がここにある、様な気がした。
「プロデューサーさん」
「……」
幸子が男に言う。もう彼女は揺るがない。
男は何も言わない。ただ、幸子だけを見ていた。
ゆっくりと、しかし、はっきりと、幸子が口を開く。
「ボク、カワイイでしょう?」
「……ああ」
男もまた、ありのまま、ただ心に浮んだ衝動に任せ、口を開く。
「幸子は、カワイイよ」
幸子は、そこでにこりと満足げに笑った。
もう、何も恐れる事は無い。あとは、ただ終わらすだけ。
さぁ、決着の時間だ。
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