181:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/04/28(月) 18:38:23.48 ID:S3TlNWjd0
それは、アイドルを気遣う想いで、同時に逃げでもあった。
彼もまた、時の解決を祈るしかない、無力な人間であったのだ。
しかし、男女間の愛が、それらを台無しにした。
互いを強く思うがあまり、とてつもなく、愚かな選択をしてしまった。
無論、それを否定するつもりは、全く無い。
愛した女性との間に出来た新しい生命は、彼にとって、正しく掛け替えの無いものだ。
選択は愚かだった。だけど、出した答えまで愚かにすることは、彼はなかった。
だけど、また、同時に。
彼は、アイドルを愛していた。友愛として、それでも愛していた。
もし、道を違えて、例えば移籍を選ぶと言うことがあっても、彼はそれを認めるだろう。
未来の選択権は、常に本人にある。
しかし、それが。
それが、よりによって、ある意味での痴情の関係で、もっと言えば、ちひろと自分の『愛』が原因ならば、それはとても虚しく、やるせないことだ。
彼は、ただ恐れていた。
親愛が友愛を捨てることになるかもしれない恐怖に。
だけど。
「お小言は、後ほど聞きますよ……それより」
幸子は、男の心境なぞどうでもよかった。
そんなこと。そんなこと、なのだ。今の幸子にとっては。
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