過去ログ - 海未「誕生日に菊の花を貰ってしまいました」
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3:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/03/15(土) 00:28:26.18 ID:GSBZbNEV0
三月とはいえ日暮れは早く、うかうかしているとあっという間に月夜になってしまう。
海未とことりは日が暮れる前に穂乃果の家を出て、帰路に着いていた。

「海未ちゃんは今年はどんなプレゼントがいい?」

真っ赤な夕日に照らされながら、ことりは少し早鐘を打つ心臓を抑えながら言った。

「今年、ですか?」

頬は赤くなってないだろうか?
唇は緊張で震えていないだろうか?
せめて、自分の手と手をぎゅっと握って、指先の震えを止めようと躍起になる。

「そうですね」

海未は一度言葉を切ると、細くしなやかな指を顎に添えて、考え込む素振りを見せた。

海未の眼は普通にしている時は優しげな雰囲気だが、こうやって集中したり、真剣に何かをやっている時は、瞳がよく研いだ刃

物の様にきりりと鋭くなる。

こういう時、クラスメイトは例外なく海未を怖がるのだが、穂乃果は慣れっこであり、ことりはかっこいいと思っていた。
普段とのギャップがことりの眼にはとても頼もしく見えて、それは幼少期の頃からことりが海未に抱いていた淡い想いを刺激さ

せる。

「私はことりから貰えるものは、基本的に嬉しいので……何を貰っても喜ぶ、というのが本音ですね」

長考の結果、海未は困りながらも笑みを浮かべて、そんな言葉を口にした。
そんな言葉一つ一つが、ことりの心を強く揺さぶって、心拍数がどんどん上がっていくのだ。

「じゃ、じゃあ今年は……」

誰が見ても解るほどに、ことりは顔を真っ赤に染めて、しかしその赤面が海未にばれない様に俯いて、蚊が鳴くような声で呟い

た。

「ことり? どうしました?」

「う、ううん! 今年も海未ちゃんに何をあげるか考えるのが、楽しみだなぁって!」

「そうですか。ことりも楽しんでくれるのなら、私の誕生日も良いものですね」

クスッと笑う海未に、ことりはもう息を吸って、息を吐く事、それだけでもう精一杯なほどにドキドキしていた。


ことりが海未に恋心を抱いたのは、小学生のころだった。



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