72: ◆7z8ZeD4jWk[saga]
2014/04/10(木) 15:22:47.76 ID:XR/gp0iC0
阿笠博士宅。
阿笠「さ、着きましたぞい。どうぞ中へ」
輪入道「すみませんなぁ。見ず知らずの人間がお邪魔しちまって」
阿笠「いやいや、あなたのお陰で家まで歩かず済みましたしのぉ。ま、どうぞ掛けてくだされ」
輪入道「じゃあ、失礼して。はぁ、しかし立派なお屋敷ですな」
阿笠「ハハ、見た目は良いが中身はボロですわい」
輪入道「いやいや。そんな事は。お1人で住んでるんで?」
阿笠「いや、一応同居人がおりますわい。女の子が1人」
輪入道「同居人?ご家族じゃあ?」
阿笠「一応、家族同然に暮らしてはおりますがの。血の繋がりはありませんわい」
輪入道「はあ。ご親戚か何かで?」
阿笠「まあ、そんな所ですわい」
輪入道(戸籍も何もねぇ人間を親戚も何もあったもんじゃねぇ。やはり何かあるな。しかし、話してる限りじゃあ人の良いじいさんだがなぁ)
阿笠「さ、どうぞ。粗茶ですがの」コトッ
輪入道「あ、こりゃご丁寧にどうも」
阿笠「所で、お招きして何ですがまだお互いに名前も名乗ってませんでしたな」
輪入道「あいや、こいつは失敬。轟と申します。ま、見ての通りの楽隠居でして」
阿笠「ワシは阿笠博士(ひろし)、まあ周りからは阿笠博士(はかせ)と呼ばれとりますわい。しがない発明家でしてな。所で、轟さん。単刀直入にお伺いしたいんじゃが」
輪入道「は?」
阿笠「一体、何の目的でワシに近づいたのかな?」ニヤッ
輪入道「......何の話で?」
阿笠「とぼけんでくだされ。何か用があって、車に細工したんじゃろ?」
輪入道「そいつぁ心外ですなぁ。親切で車を直したってぇのに、まるで犯罪者扱いだ」
阿笠「アンタを疑うに足る根拠はあるんじゃよ?ちゃんとのぉ」
輪入道「疑う?たまたま壊れたアンタの自動車を、たまたま散歩で通りかかった俺が直しただけじゃあねぇですかい?何が不思議なんで?」
阿笠「その自動車じゃよ。おかしいんじゃよ。壊れるのはの」ニヤッ
輪入道「おかしい?自分で言ってたはずだ。ポンコツだから良く壊れると」
阿笠「確かにのぉ。これが1週間前なら何も疑わなかったわい。だがタイミングが悪かったのぉ」ニヤッ
輪入道「何?」
阿笠「実はあの車、6日前に壊れてのぉ。2日前メーカー修理から戻って来たばかりなんじゃよ」ニヤッ
輪入道「!」
阿笠「いくらポンコツでも、整備したばかりの車がそうそう簡単に壊れはせんじゃろ?こりゃ余程の手抜きか、誰かが細工したとしか考えられないんじゃよ」ニヤッ
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