過去ログ - 美海「憑き物落としをして下さい」京極堂「――話を聞こう」
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1:美海ちゃんみずらかわいい
2014/03/26(水) 16:23:26.16 ID:MYBdW6af0
宝船の凪

宝船

ながき世の
とをのねぶりの
みなめざめ
波のり船のおとのよきかな
―――――画図百器徒然袋 上巻、及び下巻
鳥山石燕/天明四年

SSWiki : ss.vip2ch.com



2:美海ちゃんみずらかわいい
2014/03/26(水) 16:24:46.73 ID:MYBdW6af0
1


びゅうびゅう――
びゅうびゅう――
以下略



3:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[sage]
2014/03/26(水) 16:25:47.28 ID:PXOA/viG0
いいね


4:美海ちゃんみずらかわいい
2014/03/26(水) 16:26:14.93 ID:MYBdW6af0
「遠い所を良くおいで下さいました。」
丸い眼鏡を掛けた小柄な女性はそう云うとペコリと会釈をした。
「すみません。朝早くに」
隣の敦子が云った。
あぁ――あの太陽は朝日だったのか。なら今は朝か――だからこんなに寒いのか。
以下略



5:美海ちゃんみずらかわいい
2014/03/26(水) 16:27:08.67 ID:MYBdW6af0
――鴛大師市には至る所に灰白い物が降り積もっていた。
敦子から聞いていた『ぬくみ雪』と云うものらしい。話を聞いた時は、波の花を想像していたが実物は雪そのものに見える。
だが本物の雪ではない。デトリタス――生物の死骸や糞尿が砕け、分解された粒子。
目の前に積もる美しい雪は全て死骸と糞尿の山なのだ。
この街はやはり――コキュートスなのだと、覚醒した頭でも結局そんな感想しか抱けなかった。
以下略



6:美海ちゃんみずらかわいい
2014/03/26(水) 16:30:41.42 ID:MYBdW6af0
2


まなかさんが戻ってきた。海から引き上げてしまった。
もう凪のままでは居られない。嫌でも進んでしまう。
以下略



7:美海ちゃんみずらかわいい
2014/03/26(水) 16:33:19.95 ID:MYBdW6af0
彼女を見る光の姿が何だか不意に醜い物に見えて、私は病室を後にした。
病室の外では三橋先生と、着物姿の見たことのない男の人が話しをしていた。
――前に読んだ小説の作者に似ている。
――名前は出てこなかった。

以下略



8:美海ちゃんみずらかわいい
2014/03/26(水) 16:35:22.53 ID:MYBdW6af0
3


時計を見ると十九時を回っていた。この街にきて半日経つが、その大半を寝て過ごしてしまった。
三時頃に下で、海から人が上がったと云う声が聞こえてき一度だけ目を醒ましたが、
以下略



9:美海ちゃんみずらかわいい
2014/03/26(水) 16:46:43.02 ID:MYBdW6af0
何故君がここに、と口に出すまでには数秒の時間がかかった。
「それは僕の台詞だよ。――敦子から本の出版の話は聞いていたけど、依頼した小説家が依りにも依って君だったとは」
敦子を指さしながら京極堂が云う。
「おい、僕の質問に答えろよ、何で君はここにいるんだ」
「はぁ――まったく。ずっと寝てたくせに威勢だけはいいな」
以下略



10:美海ちゃんみずらかわいい
2014/03/26(水) 17:02:58.22 ID:MYBdW6af0
「この鴛大師と海中の汐鹿生に残る海神様とおじょしさまの話はこうだ――。
人は初め皆海に住んでいた。だが地上に憧れた人間は海神様がくれた海で暮らせる特別な羽衣――胞衣のことだね。
その羽衣を脱ぎ捨てて地上へと上がった。だが、地上へ上がった人間には数々の災いが待ち受けていた。
災いを海神様の怒りだと考えた人間たちは少女を生け贄に、つまり海神様の嫁にした
――生け贄の少女はおじょしさまと言う人形に変わりったが、現在まで祭りとしてこの地方に残っている」
以下略



11:美海ちゃんみずらかわいい
2014/03/26(水) 17:08:21.92 ID:MYBdW6af0
「この地の海神様・おじょしさま信仰はね――恐らく恵比寿信仰が元となっている」
「恵比寿?恵比寿が海神様なのか?」
「いや恵比寿信仰は海からやって来る漂着物に対する信仰が元だ。
海その物を神格化した訳ではない――最も古い記録では恵比寿はこのような字を書く」
そう云うと京極堂は懐から紙と筆を取り出し、『夷』と言う字を書いた。
以下略



12:美海ちゃんみずらかわいい
2014/03/26(水) 17:11:45.91 ID:MYBdW6af0
「実際、十四の海村近辺では胞衣を持たない人から胞衣を持つ子が産まれるという事があるらしい。
目に見えて現れないだけで、胞衣の遺伝子は残っていると言うことだね」
――胞衣は劣性遺伝と云うことか。
「胞衣を持って生まれた者は海から離れては暮らせない。地上へ進出していった人々にとって云わば不具の子『蛭児』だ。
そうした人を海神様の嫁に。――海に流した」
以下略



13:美海ちゃんみずらかわいい
2014/03/26(水) 17:48:36.86 ID:MYBdW6af0
ここで一旦休憩。

続きは数日後に。


14:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[sage]
2014/03/26(水) 17:54:03.62 ID:a1RefBob0
ちょっと>>1くん
もしか他の場所で京極堂SS書いたりしなかった
あと何か作ったSSでもし言えるものあったら教えてくれない


15:美海ちゃんみずらかわいい
2014/03/26(水) 18:02:59.24 ID:MYBdW6af0
>>14
栄螺鬼の人のは参考にしてますけど初SSですよ。
鉄鼠の檻が読んでたら乱丁だったので、その怒りの発散に書います。


以下略



16:美海ちゃんみずらかわいい
2014/03/28(金) 00:23:25.25 ID:a8JcZFcj0
最新話みたら
海神様=大海神だった。

汐鹿生の鳴波神社のモデルかもと云われてた長崎県の海童神社は、
大海神と蛭子祀ってるからちょっと驚き。
以下略



17:美海ちゃんみずらかわいい
2014/03/29(土) 09:46:57.10 ID:CwcIoggY0
投稿再開します。


18:美海ちゃんみずらかわいい
2014/03/29(土) 09:48:00.63 ID:CwcIoggY0
「ちょっと待って兄さん。――この海神様とおじょしさまの話は実際にあった事って云ったけど、
実際に海の中には海神様と云う人物が居たの?」
「居たんだろう」
京極堂は当然だという顔で答えた。
「でもそれだと海神様は、初代おじょしさまが地上へ帰った後、数百年は生きている事になるわ。
以下略



19:美海ちゃんみずらかわいい
2014/03/29(土) 09:49:24.19 ID:CwcIoggY0
「そんなの考えれば分かるだろう。――海神様は一人の人物のことじゃないってことさ」
「一人じゃ――ない?複数居たのか」
「あぁ――。この古文書によれば、海神様とは初代おじょしさまから人形へ切り替わるまでの間、
汐鹿生を統治していた者達の総称だ」
「海神様と呼ばれていた統治者が複数居たということ?」
以下略



20:美海ちゃんみずらかわいい
2014/03/29(土) 09:50:16.80 ID:CwcIoggY0
「彼等は地上へ進出し胞衣と、神と崇めた統治者への信仰心を失った。そうしたら災いが起きた。
災いを鎮めるには信仰心が必要だ。海への信仰心は即ち胞衣だ。だから胞衣を持つ娘を生け贄にした。
地上で暮らせない出来損ないの胞衣持ちも、海を基準に考えれば信仰心の強い娘ということに為る。胞衣が有るのだからね。
そして初代おじょしさまが流された後――災いは実際に終息した。
当然地上では海の中の統治者が神の力を持っていると確信しただろう。地上での信仰心の復活だ。
以下略



21:美海ちゃんみずらかわいい
2014/03/29(土) 09:53:07.28 ID:CwcIoggY0
「そして生身のおじょしさまから人形へ切り替わる時、海村を統治し海神様と呼ばれていた何人もの統治者は、
全て纏めて一つの神格『海神様』となったんだ。それにより過去が遡って形成され海神様は数百年以上生きたことになった。」
「ちょっと待て――切り替わると云ったが、今のおふねひきは、最初のおふねひきとは別なのか?」
「あぁ、別だよ。――海神様は初代おじょしさまが地上に帰った後、数百年後に死亡したとされている。
つまり初代おじょしさまが帰って数百年後に統治者が居なくなったんだ。統治者が不在となれば当然年貢は無くなる」
以下略



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