過去ログ - 京太郎「あの人が言っていた」 part2
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818: ◆EEGknAt6l2[saga]
2014/12/21(日) 22:06:24.31 ID:KcdS6+OC0



 東二局

 自動雀卓からせり出した山から牌をとる

 先のツモ和了りで親である京太郎の点数は僅かに沈んだ


京太郎「……ふぅ」


 配牌を見てため息ひとつ

 聴牌からは遠い

 上家の男子が和了れたのは運だ

 欲しい牌を引き当てる幸運

 一局の半ばを過ぎて安牌が少なくなってきた状況

 頭を抱えながらどうにか切り抜けていた京太郎だが、相手のツモは防ぎようがない


京太郎(結局、ついてるやつが勝つだけか……)


 一年ほど麻雀を学んだ京太郎が実感したのは、やはり運の要素が大きいということだった

 どう頑張っても和了れない時もあれば、牌が転がり込んできてあっさり和了ってしまう場合もある

 今でも麻雀というゲームに対する印象は、あの時から変わっていない

 それでもと内心で繰り返しながら、ここまでやってきたのだ

 だが、気づいてしまったのだ


京太郎(俺、羨ましかっただけだったんだ)


 京太郎が興味を抱いたのは麻雀ではなく、それに打ち込む人の姿なのだと

 未練から運動部を避けていた京太郎が一番目にしていたのは、室内競技で最もポピュラーな麻雀だ

 これが将棋だったらそっちを始めたかもしれない

 要するに、心の隙間が埋まれば何でも良かったのだ

 ふっと熱が冷めていくのを感じた

 これ以上やっても、自分は他の人たちみたいになれない

 そう思ってしまったからだ

 落胆と失望でさらにため息が漏れる

 もうこうして対局している意味も見いだせない

 もっと早くに見切りをつけるべきだった

 ――適当に流して、終わったらここを出よう

 そう考えた時だった


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