9:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga sage]
2014/03/30(日) 22:11:41.74 ID:F/+i4S6Q0
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「千早ちゃんって、人魚みたいだね」
初めて天海春香が私の歌を聞いた感想がこれだった。
歌い終え、座ったところに春香はそう言ってくれた。
横に座った彼女はキラキラした瞳で私を見つめて来たけれど、それを無視するかのように手元の楽譜に目を向けた。
「本当は鳥さんかと思ったんだけど、鳥さんはどちらかと言うと鳴くって感じだから」
それに気付いているのかいないのか、春香は私に話しかけてくる。
「千早ちゃんがこんなに歌が上手だったなんて知らなかったな。早く言ってくれれば良かったのに」
「……そう、ありがとう」
私は突き放すように一言だけ告げる。
春香は褒めてくれてはいるけれど、さっきの歌は私からすればとても良い出来ではなかった。
初めて私のために創られた歌。
ダンスやグラビアなんて微塵も興味が無いけれど、歌うためだけにそれらをこなしてきた。
初めて曲に乗せて歌っては見たものの、歌詞を頭の中で確認しているようではまだまだ。
一秒でも早く完全な歌になるよう、目の前の煩わしい同僚に構っている暇なんて無かった。
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