26: ◆InfI0vlg76
2014/04/01(火) 09:30:12.10 ID:V7PLv1990
拍子抜けする佐天の目の前で、鏡の自分の唇が歪み。
そのまま、なぜか――どちらも動いていないのに、なぜか距離が開いていく。
その瞬間、佐天はなんとなく強い抵抗感を覚えた。まだ離れたくない、聞きたいことがまだ。
「待って!」
「待って!」
バッ、と飛び起きた瞬間に布団が吹っ飛び、状態を起こして荒い息を吐く。
あたりを見回して真っ暗なことに気づき、電気をつける。
「ん…まぶしっ」
手で顔を隠しながら起き上がり、冷蔵庫の方へ向かう。
お茶をコップに注ぎながら頭を押さえた。
(夢…だよね?)
時刻は午前二時。奇怪な話には事欠かない時間帯である。
「丑三つ時…には少し早いなあ」
内心の震えを納めるため、敢えて一人で軽口を叩いてみる。コップのお茶を一気に呷り、大きく息を吐く。
「はあ――」
ふう、と吐き出しきったところで胸に手を当てる。
心臓の鼓動が早まっている。深呼吸を何度かして落ち着かせる佐天は不安げに周りを見回す。
怖い夢を見たあとは怖い気分になるものだが、幸いにもそのようなものを演出する物音やら人形やらはなにもない。だが、この夢は佐天の胸のなかにやけに残っていた。
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