34: ◆InfI0vlg76
2014/04/01(火) 12:24:54.14 ID:V7PLv1990
パン、と手を払って美琴は二人に笑いかけた。
「ごめんね、突然」
「いえー、いつものことじゃないですか」
あはは、と笑い返す佐天の後ろで、初春は少し居心地が悪そうに身じろぎしていた。
「?どうしましたの?」
黒子が水を向けると、初春は名残惜しそうに口を開く。
「折角みんな揃ったところで申し訳ないんですが…私、今呼び出されたんでそろそろ行きますね」
「?わたくしは呼び出されてませんのよ?」
首をかしげた黒子に向けて初春が否定するように手を振る。
「いえ、どうも近くの支部で詐欺防止のポスター作ることになったらしくて。絵までは終わってるらしいんですが、パソコンを使える人がいないみたいです」
「それで助っ人として駆り出されたってわけかー。流石『守護神』ね」
感心する美琴に謙遜しながら、初春は携帯電話をポケットにしまった。
「すみません、さようなら」
「じゃあね初春!ケーキ待ってるから!」
「がんばってねー」
「いってらっしゃいまし」
三者三様の見送りを終えて、美琴が初春の去った方向から目線を動かさずに口を開く。
「…それにしても、詐欺かあ。流行ってるね」
「ええ。カツアゲなどが良いとは言いませんが、詐欺なんて卑劣で陰湿すぎますの」
不愉快そうにまゆを潜めて黒子もぼやく。
「全く、人の善意につけこんで騙すなんて…最低の輩ですわ」
腰にてを当てて憤る黒子の前で佐天は少し俯く。
(人の善意につけこんで騙す…詐欺はしてなくても、それがあたしの能力なんだって知ったらこの二人や初春は)
失望するだろうか、怒るだろうか、軽蔑するだろうか。
「…どうしましたの、涙子?」
下を向いた佐天に黒子が心配そうに声をかけると、御坂も佐天の顔を覗き込む。
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