67: ◆InfI0vlg76
2014/04/01(火) 23:02:31.21 ID:V7PLv1990
「あ、佐天さん…」
「…」
御坂と顔を合わせるのは、二週間ぶりだ。
つまり、佐天が――正確には『上書き』が御坂にたちの悪い悪戯を仕掛けて以来。
微妙な空気が流れるが、直後に御坂がギョッと目を剥く。
「って食蜂!?なに、佐天さんに何やったのよ!」
「えっと、あの…」
「あらぁ、友達が心配なのぉ?大丈夫よぉ、まだ何もしてないからぁ」
クスクス笑って御坂の神経を逆撫でする食蜂の方を慌てて振り向くと、小声で囁かれる。
「適当に合わせてよぉ」
「は、はい…」
「ちょっと!佐天さんを解放しなさい!」
前髪から火花を散らす御坂の目の前で、食蜂はリモコンを振った。
「あらぁ?私が命令すればこの子は自殺でもなんでもするんだけどぉ。そんな言葉遣いじゃダメなんだゾ☆」
「っ…!」
悔しそうに歯噛みする御坂と楽しそうな食蜂に挟まれて、佐天は慌てる。
「ちょっと!食蜂さん!」
「もうちょっとお願いねぇ」
小声で抗議するも簡単に流される。佐天が見守るなか、御坂が口を開いた。
「…お願いします。佐天さんを解放してください」
(御坂さん…)
悔しさを隠して食蜂に頭を下げる御坂を見て、佐天の目に涙がたまる。
食蜂と御坂の仲が悪いのは知っているし、そうでなくともプライドの高い御坂が人に頭を下げるなんて滅多にないことなのに、
(なんで、なんで、あたしなんかのためにそこまでできるんですか…!?)
「そんなに助けてほしいのお?」
「…はい。私のことは好きにしていいから…佐天さんは」
「ってことで、冗談はここまでよぉ」
「――はぁ?」
御坂の必死の懇願を目の前で打ち切ると、食蜂は身を翻した。
「御坂さんはあなたのこととっても大事に思ってるわよぉ。…信じるんだゾ」
「っ――はいっ!」
歩き去る食蜂と元気よく返事した佐天に御坂は取り残されポカンと口を開けていたが、すぐに自分が食蜂に振り回されていただけだと直感した。
つまり、自分はなんの意味もなく『あの』食蜂に敬語を使い、頭を下げさせられただけとなる。
「待てやコラアアアアアア!!!」
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